イスラエル、「限定的」攻撃=事態悪化避けたか



【カイロ時事】イスラエルが予告通りイランに報復した。中東情勢の悪化を懸念する欧米諸国はイスラエルに自制を要求しており、イスラエルは国際社会の圧力を見定めつつ、事態悪化につながらないよう「限定的」なイラン本土攻撃に踏み切ったもようだ。

双方が直接攻撃し合うのは前例がなく、イランがさらなる対抗措置に出れば、衝突激化は避けられない。こうした懸念から、欧米諸国はイスラエルに思いとどまるよう調停外交を活発化させていた。しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれは自ら決定する」と、強硬な態度を改めることはなかった。

ただ、実際の攻撃は抑制的だったとみられる。イスラエル軍は、イラン中部イスファハンの軍事施設を空爆したが、米当局者はCNNテレビに、イスファハン州に複数ある核関連施設や民間人が巻き込まれる可能性のある場所を避けたと指摘。イスラエル当局者は米紙ワシントン・ポストに対し、「イスラエルにイラン国内を攻撃する能力があることを知らせる目的だ」と説明した。事前に米国に通告していたといい、一定の配慮を見せた。

パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと対峙(たいじ)するイスラエルにとって、新たな戦線が開かれるのは避けたいところ。一方で、直接攻撃を受けた手前、イランへの抑止力を誇示する必要があった。ネタニヤフ政権内の対イラン強硬論に一定程度応えたという側面もある。

【時事通信社】 〔写真説明〕イスラエルのネタニヤフ首相(EPA時事)

2024年04月19日 21時00分


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