スパコン整備に巨額支援=AI開発加速のカギ―経産省



経済産業省は、人工知能(AI)開発に必要なスーパーコンピューターを整備するKDDIなどの計画を後押しする。支援額は最大で計725億円と巨額に上る。文章や画像を自動で作る生成AIの開発には、膨大なデータの学習や計算が可能なスパコンなどの計算基盤の整備がカギを握る。官民一体で開発体制を整え、先行する海外勢に対し巻き返しを狙う。

「経済安全保障や産業競争力強化の観点から、生成AI開発用の計算資源を国内に整備することが重要だ」。斎藤健経産相は19日の閣議後記者会見で支援の狙いをこう強調した。生成AIの開発では、大規模な計算基盤を持つ米IT企業が優位に立つ。日本では計算基盤が乏しく、米マイクロソフトなど海外企業が提供するクラウドサービスに依存しているのが現状だ。

今回の支援では、膨大なデータを処理できる米半導体大手エヌビディアの画像処理半導体(GPU)の調達費用などを補助し、GPUを組み込んだAI開発向けのスパコンを各社が整備する。生成AIを開発するスタートアップ(新興企業)などにスパコンを利用させることを要件に、大企業に最大3分の1、それ以外の企業に同2分の1をそれぞれ補助する。

経産省は、生成AI開発に必要な国内の計算能力を2027年度末に現在の20~30倍の60エクサ(エクサは100京)フロップス(処理速度を表す単位)へ拡大する目標を掲げる。今回の支援を通じても、約30エクサフロップスと目標の半分にとどまっており、同省はさらなる支援でAI開発基盤の整備を加速させる。

【時事通信社】 〔写真説明〕スーパーコンピューターなどを管理するさくらインターネットのデータセンター(同社提供)

2024年04月20日 07時05分


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