北海道・知床岬での携帯基地局整備計画を巡り、KDDIなど携帯大手4社が整備を断念する方針を固めたことが8日、明らかになった。基地局整備は知床観光船沈没事故を受け、国の主導で計画されたが、絶滅が危惧される国の天然記念物オジロワシなど生態系への影響が懸念されていた。
一方、漁業者の安全確保の観点から要望が根強い知床半島東部の羅臼町ニカリウス地区では、計画通り整備を進めるとみられる。11日に斜里町で開かれる非公開の関係者会議で、撤退が表明される見通しだ。
計画では、知床半島北端の知床岬にアンテナを設置し、電源設備として太陽光パネルなどを約7000平方メートル分の敷地に敷設。死者・行方不明者26人を出した2022年4月の観光船沈没事故を機に、緊急時の通信手段確保に向けて検討が始まり、環境省は今年3月に計画を認可していた。
ただ、予定地は世界自然遺産区域内にあり、同省は事業者側に対し、生態系への影響調査を行うとともに、結果が出るまで工事を中断するよう要請していた。
【時事通信社】
〔写真説明〕北海道・知床半島の知床岬
2024年10月09日 07時09分