能登半島地震で被害が大きかった石川県輪島、珠洲両市に建設された仮設住宅の約55%で、自治会長などのまとめ役が不在であることが分かった。1日で発生から11カ月。被災者が高齢な上、見知らぬ者同士が集まる団地も多く、新たなコミュニティーづくりに苦慮している現状が浮かぶ。
被災した4市町に尋ねたところ、11月29日時点で自治会長や連絡係が決まっていないのは輪島市の46団地のうち31団地、珠洲市は42団地のうち18団地だった。輪島市の担当者は「複数の地区から住民が集まる大規模な団地はなかなか手を挙げる人がいない」と打ち明ける。
輪島市の山岸町第2団地に入居する女性(71)は「たまにしかいない人もおり、みんな自分のことで手いっぱい。話す相手もなく、寒くなるとなおさら家に閉じこもると思う」と話す。
同市マリンタウンの団地に住む女性(74)は、まとめ役がいないためにルールが守られていないと嘆く。「ごみを分別しない人や、可燃ごみを収集日以外に出す人がいる。野良猫が荒らすので、自主的に清掃しなければならない」
一方、両市に比べて仮設住宅数が少ない能登町は13団地中12団地で、穴水町は16団地中15団地でまとめ役が決まっていた。いずれも町職員が各団地に足を運び、説得に当たったという。
県によると、高齢化が進む被災地では、70代以上の入居者の割合が約46%と高い。孤独死対策の上でも住民同士の支え合いは必須と言え、県などは活動費を補助することで自治組織設立を支援していく考えだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕仮設住宅のごみ捨て場。分別されていないごみ袋には「収集できません」と書かれた黄色い貼り紙がされていた=11月26日、石川県輪島市
2024年12月01日 07時05分