石破茂首相は5日の参院予算委員会で、SNSなどで結び付く反社会的勢力「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」について「撲滅を目指して努力しなければならない」と述べた。埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、全国のインフラ防災に取り組む姿勢も示した。
トクリュウは、女性客に多額な飲食代を請求し、売春などをさせる悪質ホストクラブ問題にも絡んでいるとみられる。政府はこうした「卑劣なビジネスモデル」(警察庁)を規制する風営法改正案を今国会に提出予定で、首相は「有効な手だてとなるよう、一日も早い成立を期したい」と強調した。立憲民主党の塩村文夏氏への答弁。
東南アジアを拠点とする犯罪組織で日本人が特殊詐欺に加担させられている問題を巡り、首相は各国が連携して対処すべきだと主張。国際会議の開催にも触れ「日本がイニシアチブを取り、リーダーシップを発揮することが必要だ」と語った。
道路陥没を踏まえ、首相は「(インフラの)総点検が必要だ」との認識を示した。高度経済成長期に整備したインフラが耐用年限を迎えつつあるとして、「国土交通省で事前の防災体制を確立すべく、力を尽くしている」と説明した。立民の羽田次郎氏への答弁。
首相は経済政策に関し、アベノミクスの金融緩和や財政出動が一定の効果をもたらしたと評価する一方、十分な賃上げにはつながらなかったと指摘。「新しく付加価値創出型の経済をやっていきたい」と掲げた。自民党の古川俊治参院政審会長への答弁。
首相は退職金税制の見直しにも言及した。同じ会社で長く働くほど所得税の負担軽減効果が大きくなる現在の制度に対し「雇用流動化が妨げられない税制を考える必要がある」と強調。「拙速な見直しは避けなければならない」とも話した。立民の吉川沙織氏への答弁。
北朝鮮による拉致問題に関し「風化が実際に起こっていることは認めざるを得ない」と述べ、啓発活動に努める考えを示した。自民の佐藤正久氏への答弁。
【時事通信社】
〔写真説明〕参院予算委員会で挙手する石破茂首相=5日、国会内
2025年03月05日 17時27分