米軍、AI分野で中国に敗北=元ソフトウエア担当官が警鐘―英紙



【ワシントン時事】米国防総省でサイバー安全保障を担ってきたニコラ・シェラン元空軍ソフトウエア担当官は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、米国が軍事分野の人工知能(AI)開発で中国に敗北を喫しているという認識を示した。このままでは中国がサイバーにとどまらず、あらゆる分野で覇権を握ることになると警鐘を鳴らし、米国で波紋を広げている。

シェラン氏は今月、サイバー分野での米軍の取り組みの遅れに抗議して辞任した。米中の競争について、FTに「既に(米国の敗北で)決着はついた。私に言わせれば終わりだ」と断言。一部の米政府機関のサイバー防衛が「幼稚園並みだ」と厳しく批判した。

とりわけAI開発での遅れに関し、倫理面の課題をめぐる議論に多くの時間を費やす米国を尻目に、中国は倫理問題を無視して多大な投資を行ってきたと指摘。また、中国のIT企業が当局への協力を義務付けられている一方、米大手グーグルは米国防総省との協力に後ろ向きだと嘆いた。

さらに、米国の国防支出は中国を大きく上回っているものの、調達コストが高く投資先も適切でない上、官僚主義と過剰な規制によって国防総省が必要とする改革が阻害されていると主張した。サイバー分野で中国が米国の優位を脅かしている現状に関し、数週間以内に議会へ説明する考えも示した。

米国では保守系のFOXニュースなどが、FTのインタビュー内容を報じた。シェラン氏はその後、「私は(中国に)負けたとは言っていない」とツイッターに投稿。「いま目を覚まさなければ、現状では今後15年間、中国との闘いで勝つチャンスがなくなると言ったのだ」と釈明した。

【時事通信社】 〔写真説明〕天安門広場で行われた中国の軍事パレード=2019年10月、北京(AFP時事)

2021年10月12日 14時12分


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