文化庁、27日に京都移転=地方創生で発信力強化―出張費、年4700万円



文化庁が27日、東京・霞が関から京都市に移転する。東京一極集中の是正と地方創生を進めるため、2016年に当時の安倍政権が決定。同庁は長官直属の「食文化推進本部」(仮称)などを設置して情報発信を強化する。中央省庁初の「全面移転」をうたうが、九つある課のうち4課は東京に残留。京都勤務の職員も国会対応などで上京するため、年間4700万円の出張費がかかる見込みだ。

同庁職員は590人。うち50人は先行して17年に京都に移った。今月27日には都倉俊一長官と中核職員ら20人が移動。ゴールデンウイーク中にさらに310人が移り、5月15日から京都での業務が本格始動する。東京には210人が残るが、その後も移転を進め、最終的には京都390人、東京200人となる計画だ。

移転の対象となるのは9課のうち政策課、文化資源活用課など5課。これに加え京都では、新たに食文化推進本部や「文化観光推進本部」(仮称)を立ち上げ、海外で知名度が高い京都から日本文化の魅力を世界に発信する。著作権課など4課は東京に残る。

京都の職員も国会関連の対応や重要業務があれば上京する。20年度に京都での勤務を試行したところ、全案件のうちオンラインで可能だったものは26%。特に国会議員への説明案件では12%にとどまった。ある職員は「新型コロナウイルスの影響で霞が関ではオンライン会議が定着したが、永田町も同じかというとそうではない」と話す。

宗教団体を所管する宗務課も移転対象だが、永岡桂子文部科学相は「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連の業務に区切りがつくまで東京で勤務する」と明言。同課は旧統一協会に「報告徴収・質問権」を行使し、解散命令を請求するかどうか検討を進めている。同庁幹部は「質問権行使は初めてなので、先は読めない」と話しており、京都で業務をする時期は不透明だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕文化庁が移転する旧京都府警察本部本館(手前)と新行政棟(奥)=17日、京都市

2023年03月21日 15時34分


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