米中、経済から対話再開=「雪解け」の試金石―半導体で応酬も



【ワシントン、北京時事】レモンド米商務長官と中国の王文濤商務相は25日、米首都ワシントンで初めて会談した。中国偵察気球問題や、台湾情勢を背景に緊張が高まっている中、経済分野から対話を再開。今回を皮切りに、衝突回避に向けた閣僚外交を軌道に乗せて首脳会談につなげられるかが、今後の米中関係を占う試金石となる。

バイデン米政権発足後に米中閣僚が米首都で会談するのは初めてとされる。会談は対決ムードを和らげるために夕食会形式で行われたが、米中ハイテク競争の主戦場である半導体を巡っては非難の応酬に発展。両国の発表によると、王氏が会談で米半導体政策に「重大な懸念」を伝えると、レモンド氏は「米企業に対する中国の措置」を強く批判した。

米政権は昨年10月、台湾有事などの地政学的リスクもにらんで半導体の対中輸出規制を大幅に強化した。今月21日閉幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)は、対中国を念頭に経済安全保障の声明を初めて発表。一方で中国政府は、米半導体大手マイクロン・テクノロジー製品の排除を打ち出した。

バイデン大統領と中国の習近平国家主席は昨年11月にインドネシアで会談し、対話の機運が戻りかけたが、今年2月の中国気球問題でしぼんだ。ようやく今月、国家安全保障担当の米中高官協議が実現し、バイデン氏は「雪解けが近い」と期待を示していた。今回の経済閣僚会談が最初の具体的な動きとなる。

経済対話の再開を優先したのは、米国が議長国を務めるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を11月に控え、中国を巻き込んで地球規模の課題を議論するためだ。経済先行きに不安が残る中国も、対話を拒みづらい状況だった。

バイデン氏は習氏との再会談に意欲を示す。だが、米中は一触即発の火種を抱え込んだままで、互いの出方次第では再び関係が冷え込む危険性をはらんでいる。米政権は来年1月の台湾総統選後に米中対立が高まる事態に備え、来月に米中国防相会談を行う方向で調整中。ブリンケン国務長官は延期していた中国訪問の再調整を目指し、イエレン財務長官らも訪中を視野に入れている。

〔写真説明〕レモンド米商務長官=16日、ワシントン(AFP時事) 〔写真説明〕中国の王文濤商務相=3月2日、北京(ロイター時事)

2023年05月26日 17時48分


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