ソロモン、親中派が政権維持=緊張続く島しょ地域



【シドニー時事】南太平洋の島国ソロモン諸島で2日、与党連合のジャーマイア・マネレ前外相が新首相に就任した。ソガバレ前首相の下で中国と緊密な関係を築いた与党陣営が政権を維持。両国間で結ばれた安全保障協定を足掛かりに、中国は太平洋島しょ地域で影響力を拡大させる可能性がある。米中の覇権争いの最前線となっている同地域の緊張が続きそうだ。

ソガバレ前政権は2019年に台湾と断交して中国と国交を樹立。22年に安保協定、23年に警察協力協定を中国と締結した。マネレ氏は外相としてこれらを推進した。与党は4月の総選挙で、「北方政策」と称して中国との一層の関係強化を打ち出しており、マネレ氏は親中路線を継続する見通しだ。近日中に閣僚を選任し、新政権を本格始動させる。

中国は太平洋島しょ地域で、19年にキリバス、今年1月にナウルと国交を結んだ。親米政権のパプアニューギニアなどとも経済関係の強化を進める。ソロモンとの安保協定を巡っては、中身が不透明で、中国が軍事拠点を構築するのではないかという疑念を西側諸国は抱いている。米国は昨年、パプアと防衛協力協定を結んで対抗し、地域の地政学的緊張が高まっている。

ソロモンの主要野党は、与党の親中路線について「主権を危うくし、巨額の債務が将来に禍根を残す恐れがある」として、過度な対中依存脱却を提唱。政権が交代していれば安保協定も見直される可能性があった。マネレ氏は就任演説で「われわれは皆、国民に奉仕するという究極の目的を共有している」と融和を呼び掛けた。

ソガバレ氏が院政を敷く可能性が指摘される一方、外交官として国連本部に派遣されたこともあるマネレ氏が西側諸国と関係を改善することへの期待感もある。オーストラリアのアルバニージー首相は「ソロモン諸島は近い友人であり、私たちの未来はつながっている」とSNSにつづった。

〔写真説明〕2日、ホニアラで記者会見するソロモン諸島のマネレ新首相(AFP時事)

2024年05月03日 08時37分


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