男女で育休、給付「手取り10割」=少子化対策、岸田首相が方針―財源明確にせず



岸田文雄首相は17日夜、首相官邸で記者会見し、最重要課題と位置付ける少子化対策の基本方針を明らかにした。男性の育休取得促進に向け、育休中の給付金について「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合、給付率を手取り10割に引き上げる」と表明。パート労働者の就労抑制要因と指摘される「年収の壁」に関しても、収入減を穴埋めする支援策を検討する考えを示した。ただし、財源などは明確にしなかった。

首相は育休給付増額のほか、「希望する場合は時短勤務時にも給付が行われるよう(制度を)見直す」と説明。一定の条件で社会保険料負担が生じる「年収106万円」の基準については、「新たに『106万円の壁』を超えても手取りの逆転を生じない取り組みの支援をまず導入する」と述べた。

男性育休取得率の目標については、「2025年度に50%、30年度に85%」とする考えを明らかにした。国家公務員の男性育休では25年度に85%以上が1週間以上取得できるよう、「計画を策定し実行する」と語った。

首相は、若年層の所得向上に向けた賃上げの必要性を強調し、「最低賃金の引き上げに取り組む」と語った。児童手当の拡充、高等教育費の負担軽減、若い子育て世帯の住居支援を行う考えも示した。非正規雇用者やフリーランス、自営業者についても「育児に伴う収入減少リスクに対応した新たな経済的支援を創設する」と明らかにした。

少子化は政府想定を超えるペースで進んでおり、22年の人口動態統計(速報値)で出生数が初めて80万人を割り込んだ。首相は、この傾向が続けば経済活動や社会保障制度への影響が不可避だと指摘。「これから6年から7年が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と強調した。

「異次元の少子化対策」を掲げる首相は、月内に子ども・子育て支援策のたたき台を取りまとめ、6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で関連予算「倍増」の大枠を明らかにする方針。

首相は会見で、「私が考える基本的方向性を話したい」と説明。一方で、予算規模や財源については「政策の中身を詰めなければ申し上げることは適当ではない」と明言を避けた。「教育国債」創設を問われたのに対して「慎重に検討する必要がある」と述べた。

〔写真説明〕記者会見する岸田文雄首相=17日午後、首相官邸

2023年03月17日 21時32分


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