残された家族の争いの種になりやすいものが資産について。終活の中で最も重要な内容とも言えるのが資産についてしっかり把握することとも言えるでしょう。ここで言う資産とはプラスのものだけでなく、もちろん負債などのマイナスのものも含めたものを言います。
もし家族が知らない貯金口座や資産があった場合、その資産が放置され後々損をしてしまうというケースも多いようです。
資産を整理するメリットとしては、自分が亡くなった後の相続の問題が軽減されるだけではなく、亡くなるまでのお金の使い方についても改めて見直す事が出来るようになります。
把握しておくべき資産
まずは自分の財産情報を把握する必要があります。把握するべき資産は大きく以下の通りです。
- 預貯金(口座を複数所有している場合は漏れが無いよう注意)
- 有価証券(株式・債権・投資信託など)
- 現金(タンス預金の置き場所など)
- 不動産
- 生命保険・損害保険・共済
- クレジットカード情報
- ネット銀行・ネット証券
長年利用していない銀行口座など、本人も忘れているような情報があるのではないでしょうか?これらが曖昧なままだと残された家族も把握するのに一苦労になります。自分の再確認を兼ねて一覧表を作成することをお勧めします。
負債の把握
負債がある場合はその内容もまとめておく必要があります。金融機関から借りたものに限らず、個人から借りているものまで。
知られたくない内容かもしれませんが、残された家族が困らないためにもきちんと書き残しておきましょう。
- 金融機関からのキャッシング
- カードローン/キャッシング
- 住宅や車など、各種ローン支払い
- 個人から借りたお金
- 保証人などになっている場合、金額などの情報
家族も把握していない負債が亡くなった数年後に発覚した場合、利息が付いてトラブルになる可能性があります。金額の大小に関わらず、負債の情報は漏れなくまとめるようにしておきましょう。
資産整理の際の注意点
資産の一覧表作成をおすすめしましたが、ここで注意したいのはキャッシュカードの暗証番号や通帳の保管場所は記載しないということ。もしこの一覧表が他人に知られてしまった場合に悪用されかねません。
このリストは自分の資産情報が全て書かれた重要書類です。保管には最新の注意は払ってください。
遺産相続について
自分の資産を把握したところで、次は遺産相続という具体的な話に入っていきたいと思います。
相続は、被相続人(遺産を相続する人)が亡くなると同時に開始され、自動的に遺産の全てが、相続人(遺産を受け取る人)に受け継がれます。
相続開始時に相続人が複数いる場合は全ての遺産は相続人全員の共有となり、遺産分割が決まるまで勝手に遺産を処分することはできません。
誰がどの遺産を相続するかどうかは相続人全員で話し合って決める必要があり、トラブルが発生しやすい場です。しかし生前に準備を進めておくことで回避出来るトラブルはたくさんあります。
「難しそうだから」と諦めてしまわずに相続の基本について学んでいきましょう。
遺産相続に関して始めるべきこと
遺産相続に関して、生前に出来ることは以下の通りです。
- 法定相続人を確認し、遺族に伝える
まず、相続人が誰なのかを明確にする必要があります。相続人の範囲は法律で決まっていますので確認しておきましょう。 - 遺言を書く
遺言が無い場合、遺族は遺族は遺産分割協議などを行わなければならず揉め事も発生しやすくなります。遺言があれば誰に何を遺すかを明確になるので遺族の負担をぐっと減らすことが出来ます。 - 相続の仕組みを知る
遺言を残すにしても相続の仕組みについて理解出来ていないと見当もつきません。
自分の資産状況の洗い出しが済んだらそれらがどのような仕組みで相続されるのか、相続税はどれくらいかかるのかを把握しておきましょう。
まとめると、遺産についての知識を深めておき生前から自分の意思を残して置くことが大切ということですね。
相続に関する用語
相続に関する文書には改めて意味を聞かれるとよく分からないという用語が多く出てきます。ここでは相続に関する基本的な用語について解説します。
法定相続人
法定相続人とは遺産相続が起こった際に相続人となる人のことを指します。法定相続人は法律によって定められています。
法定相続には、被相続人との関係に応じた遺産相続順位が定められていてます。上位順位の人がいる場合、下位順位の人に相続権はありません。
第一順位
被相続人に子がある場合、子と配偶者が相続人となります。(子が被相続人より先に亡くなっている場合などは、孫・ひ孫等の直系卑属が相続人)
第二順位
被相続人に子およびその直系卑属がない場合等は、非相続人の父母と配偶者が相続人となります。 (父母が被相続人より先に亡くなっている場合などは、 祖父母等の直系尊属が相続人)
第三順位
被相続人に子およびその直系卑属がなく、直系尊属も死亡している場合等は、兄弟姉妹と配偶者が相続人となります。 ( 兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥姪が相続人)
遺言が無い場合は原則として法定相続人により遺産分割が行われます。
法定相続分
法定相続分とは、財産を相続する際に各相続人にどのように分けるかを法律上で定めた割合のことを言います。
法定相続分は相続人が誰になるかで割合が変わってきます。例外もあるので一概には言えませんが、主に以下のようになります。
子ども・父母・兄弟の居ない場合
全て配偶者が相続します。
子どもが居る場合
配偶者が2分の1、残りの2分の1を子どもが相続します。
子どもが複数人居る場合は、2分の1を子どもが分け合うことになります。
子どもが居ない・親が居る
配偶者と被相続人の両親が相続人となる場合、配偶者が3分の2、残りの3分の1を親が相続します。
両親とも健在な場合には3分の1を両親2人で分けます。
子ども、親が居ない・兄弟姉妹が居る
配偶者と被相続人の兄弟(姉妹)が相続人となる場合、配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟(姉妹)が相続します。
兄弟姉妹が複数人居る場合には、4分の1を兄弟姉妹で分け合います。
まとめ
自分は資産が少ないから特に準備は必要ないと考えてはいませんか?大きな額でなくとも、きちんと資産の整理をしておかないと残された家族の争いの種になりかねないということを忘れず、また負担を大きく減らすことが出来るという意味合いでもしっかり行うことをおすすめします。
資産の整理は全てを一度にやろうとすると大変なので、少しずつ進めていくのがおすすめです。始めるのに早すぎるということはありませんので出来るタイミングで始めましょう。