日本の伝統芸能である歌舞伎。興味はあるけれど、難しそう、分からなかったら退屈そうで不安というイメージがあるかもしれません。しかし日本人に生まれたのであれば歌舞伎の魅力を知らないのは勿体ないことです。
そもそも、歌舞伎は大衆演劇として庶民に楽しまれてきたもの。なので気負うことなく気軽に観に行っても大丈夫なのです。
このページでは歌舞伎の世界の魅力や基本についてご紹介します。
歌舞伎とは?
歌舞伎という名称の由来は「傾く(かぶく)」という言葉から来ています。「傾く」には、並外れている や 常識はずれ などの意味合いがあります。
奇抜な髪型やファッションをしたりと流行の最先端を行く「常識にとらわれない人」のことをかぶき者と言うのを聞いたことがあるかと思います。
そうした「かぶき者」の斬新な動きや派手な装いを取り入れた独特の「かぶき踊り」が現在まで伝わっている歌舞伎の元になりました。
歌舞伎では男性が女性の役を演じる女方(おんながた)という文化があります。なぜ、わざわざ男性が女性の役を演じる必要があるのでしょうか?その答えは歌舞伎のルーツにあります。
かぶき踊りを最初に始めたのは出雲の阿国という女性でした。このかぶき踊りは大変な人気となり、遊女など女性たちが踊る「女歌舞伎」や 成人前の少年が演じる「若衆歌舞伎」が生まれました。
しかし、これらは風紀を乱すという理由から幕府に禁止されてしまいます。 そこで登場したのが成人男性のみで演じる「野郎歌舞伎(やろうかぶき)」です。野郎歌舞伎には当然、女性が出演することは出来ませんので女性の役柄も男性が演じるようになったというわけですね。
ちなみに、男性役は立役(たちやく)と呼ばれます。
伝統的な要素が多く含まれている
歌舞伎は日本舞踊や三味線、狂言、笛、太鼓など日本の伝統的な要素を数多く組み合わせて構成されています。歌舞伎を見に行くだけで他の伝統芸能も一緒に楽しめると思うと、なんだか興味が湧いてきませんか?
歌舞伎の演出
歌舞伎の音楽(BGMや効果音)はすべて生演奏です。賑やかな祭り囃子、鈴や太鼓の楽器の音、動物の声や幽霊の出る音まで!これは舞台の下手にある黒いすだれのかかった小さな部屋の中で演奏されています。
演奏している様子は客席から見ることは出来ませんが、録音された音楽とは違う臨場感は音だけでも十分に伝わってくるはずです。
また、歌舞伎の舞台は特殊な装置が盛りだくさんです。
舞台の一部が大きく回転したり、セリ上がってきたり。花道から役者が突如現れたりするなど通常のお芝居とは一味違う演出を楽しめるのも歌舞伎の魅力。
その他にも衣装や髪型、化粧や言い回しなど歌舞伎独特の演出は多くあります。しかし、一度に演出の全てを覚えようとするのは大変です。難しいことは考えずに、まずはその迫力を実際に味わってみることから始めてみてはいかがでしょうか?
演目の分類
歌舞伎の演目には様々なジャンルがあります。分類方法は多様ですが、代表的なもので言うと以下の通りです。
時代物
江戸時代よりも昔の時代、武士や公家の話を描いた作品をさします。
時代物のうち、お家騒動を書いたものは御家物(おいえもの)、そして平安時代以前に取材した作品は王朝物(おうちょうもの)と呼ばれます。
世話物
江戸時代の町人の生活に基づいて作られた作品をさします。特に身分の低い庶民の生活をよりリアルに描いたものは生世話物(きぜわもの)と呼ばれます。
所作事
舞踊作品のことをさします。初めは女方の専門とされてきましたが、18世紀後半から立役も踊るようになっていきました。
歌舞伎を見に行こう
では実際に歌舞伎を見に行こうと思っても、どこに行けば良いのか分からないという方も多いかと思います。
関東に住んでいるのであれば歌舞伎座のほか明治座や国立劇場などで上演が行われています。また、歌舞伎は巡業も行っており、地方の劇場でも公演されます。地方に住んでいる場合でもご安心を。
チケットはどうやって購入する?
歌舞伎のチケットはネットや電話、または会場に直接足を運んで購入することができます。
どの席が良いのか分からない。ネットでのカード決済をするのが嫌だという場合は電話か直接購入がオススメです。席によってチケットの値段も様々なので、まずは質問してみるのも良いでしょう。
観に行く際の服装は?
劇場に行くのであれば和装などのドレスコードを守らなければ浮いてしまうのでは?そんなことはありません。自分の普段着で行けば大丈夫です。
しかし 着物を着てみたい。ちょっとお洒落なワンピースを着て出かけたいというのであれば、それももちろんOKです!
お好きな服装で歌舞伎を楽しんでくださいね。
歌舞伎を観に行くにあたり、しっかり予習をしないと楽しめないのではと不安に思うことはありません。歌舞伎初心者の方にオススメしたいのがイヤホンガイド。お芝居に合わせて解説をしてくれる強い味方です。劇場館内で有料にて借りることができますので、ぜひ借りてみてください。
歌舞伎の世界が一気に広がること間違い無しです。
グルメや買い物も楽しい劇場
歌舞伎は半日ほどかけてじっくりと楽しむ演劇です。劇場に居る時間が長いなの疲れそうと思ってしまいそうですが、休憩時間もたっぷり確保されているので心配は不要です。
劇場内には食事処や売店、お弁当屋さんやお土産屋さんが多く並んでいるのでちょっとしたショッピング気分で回るのも楽しいです。
食事処で食べるのはもちろん、座席での飲食も可能なのでお弁当やおやつを座席で食べることもできます。
せっかく観劇にきたのにくたびれてしまったという経験は誰にでもあるかと思います。座席でゆっくり過ごせる歌舞伎であれば、疲れてしまう心配も少ないかもしれませんね。