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現場ホール、入念に下見か=モスクワ乱射テロで容疑者―発生1週間・死者143人に



ロシア・モスクワ郊外のコンサート会場で発生した銃乱射テロ事件から、29日で1週間。27日時点で死者は143人に達した。これまでの報道で、中央アジアの旧ソ連構成国タジキスタン国籍で実行犯とされる容疑者4人の一部が事件前、現場のホールを入念に下見したと疑われるなど、犯行の具体的な経緯が徐々に明らかになってきた。

◇犯行は18分間

「予兆」が広がったのは、大統領選を控えた7日。在ロシア米大使館が「過激派がコンサートを含む大規模な集会を標的にする差し迫った計画がある」と警戒情報を出した。ちょうどこの日にシャムシディン・ファリドゥニ容疑者(25)がホールを訪れるのを目撃したと、タクシー運転手らが証言している。

当局に近いメディアによると、同容疑者ら2人は、11日まで5日間連続でホールを訪問。館内を回ってスタッフに話を聞くなどしていた。ロシアのウクライナ侵攻を支持する人気歌手の公演と重なって「警備が強化され、この際は襲撃をためらった」という見方もある。

22日夜の事件で、実行犯らがホールに押し入ってから逃走するまで、わずか18分間。周到な準備の結果とみられ、治安部隊が駆け付けた時には乱射が終わり、放火による黒煙が上がっていた。アパートや車を貸した協力者として、容疑者4人以外に拘束者が出た。

◇解明に拷問が影

過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を主張した。ファリドゥニ容疑者が事件前、ISの黒色の旗を背景に気勢を上げる画像も公開されている。ただ、最近までイスラム過激派に傾倒する様子は見られなかったとの証言もある。

「祈りも断食もしなかった」。米政府系メディアによると、半年前にモスクワへ出稼ぎに行く前の同容疑者について、タジクの親族はこう説明した。妻子を抱え、首都ドゥシャンベ郊外のパン店で勤務。性犯罪で服役したこともある。兵役で訓練を受けた経験はないという。

「3月4日にトルコから再入国した」「報酬は50万ルーブル(約82万円)」。逃走先のロシア西部ブリャンスク州で撮影されたとみられる拘束後の映像で、同容疑者は震えながら言葉を発した。

その後、容疑者が電気ショックなどを受けた疑いが浮上。強要された自供はうそも交じり「価値が極めて低い」と、人権団体は警鐘を鳴らす。「過去20年間で最悪」とされる今回のテロ。これから本格化する動機や背景の解明に、拷問疑惑が影を落としている。

【時事通信社】 〔写真説明〕銃乱射テロの実行犯の一人とされるシャムシディン・ファリドゥニ容疑者=25日、モスクワ(ロイター時事)

2024年03月29日 07時11分


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