第50回衆院選は28日、定数465の全議席が確定し、自民、公明両党は過半数(233)を割り込んだ。石破茂首相(自民総裁)は基盤安定のため、野党に協力を要請するなど、政権の枠組み拡大を模索。一方、躍進した立憲民主党の野田佳彦代表も、11月召集の特別国会で首相指名選挙の勝利を目指しており、与野党の駆け引きが激化しそうだ。
首相は28日、党本部で記者会見し、衆院選について「極めて厳しい審判をもらった。自公の有為な方を多く失ったことは痛恨の極みだ」と陳謝。その上で「国政は一時たりとも停滞が許されない」として続投する意向を重ねて表明した。
政権の枠組みに関し、首相は国民民主党や日本維新の会を念頭に、政策ごとの連携を目指す考えとみられる。会見では、物価高を踏まえた総合経済対策に触れ、「党派を超えて優れた方策を採り入れる」と強調。同時に「この時点で連立は想定していない」と述べ、連立自体の拡大には慎重な姿勢を示した。
派閥裏金事件に関与して非公認となった当選者の追加公認も視野に入れる。「有権者の審判は極めて重い」としつつ、「広く国民の理解をもらえるかを基準に判断する」と述べた。
首相は28日、党本部で臨時役員会に臨み、政権の立て直しを急ぐ方針を確認した。ただ、小泉進次郎選対委員長が衆院選敗北の責任を取って辞任。一部で首相の退陣を求める声も上がっている。
首相は会見に先立ち、公明の石井啓一代表と国会内で会談した。裏金事件を受けて論点となっている政策活動費について、将来的な廃止も念頭に置いた議論を明記した政策合意に署名。政権維持についても協議した。
衆院選を巡り、首相は勝敗ラインを「与党で過半数」と設定したが、自民は公示前の256議席から191議席に大幅減。公明も石井氏が落選するなど8減の24議席だった。
これに対し、立民は公示前から50増の148議席と伸長した。国民は4倍の28議席、れいわ新選組は3倍の9議席。維新は5減の38議席、共産党は2減の8議席にとどまったが、野党全体では与党と「伯仲」(立民幹部)の状況になった。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する自民党総裁の石破茂首相=28日午後、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕党首会談で政策合意書を交わす石破茂自民党総裁(右)と石井啓一公明党代表=28日午後、国会内
〔写真説明〕辞表を提出したことを明らかにする自民党の小泉進次郎選対委員長(右手前)。左後ろは石破茂総裁=28日午後、東京・永田町の同党本部
2024年10月29日 08時02分