社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の医療保険部会は21日、医療機関で患者が支払う自己負担に限度額を設ける「高額療養費制度」の見直しを議論した。高齢化などで医療費が膨らむ中、低所得層に配慮した上で負担上限を引き上げるよう求める意見が相次いだ。
今後、具体的な引き上げ水準を与党とも協議し、年内に方向性を打ち出す。厚労省は2025年度中の実施を目指している。
高額療養費制度は、入院などで患者の自己負担額が高くなった場合、年収に応じて設けられた上限を超えた分を公的医療保険制度で払い戻す仕組み。負担上限を引き上げることで、現役世代の保険料負担の軽減につなげる。
厚労省は、前回見直した約10年前と比べて賃金などが上昇していることを理由に、負担能力に応じた上限額引き上げと所得区分の細分化を提案。委員らは厚労省案に理解を示す一方、「受診控えが起きないよう、低所得層に配慮すべきだ」と注文を付けた。
現行の上限額は、70歳未満で五つの区分に分かれている。真ん中の年収約370万~770万円の区分では、1カ月にかかった医療費から26万7000円を引いた金額の1%分に約8万円を足したものが上限額となる。窓口負担3割の人が100万円の医療を受けた場合、自己負担は約8万7000円で済む。
【時事通信社】
〔写真説明〕点滴(資料)
2024年11月21日 17時44分