【パリ、ロンドン時事】デンマーク領グリーンランドで拘束され、日本が身柄引き渡しを求める反捕鯨団体シー・シェパード(SS)創設者ポール・ワトソン容疑者(74)について、デンマーク当局は17日、日本に引き渡さないことを決めた。容疑者は同日、勾留施設から釈放された。
ワトソン容疑者は釈放後にAFP通信に対し、「私の逮捕により、日本が続ける違法な捕鯨行為に国際的な関心が集まった。その意味で(拘束下の)5カ月間は反捕鯨運動の延長だ」と述べた。
ワトソン容疑者を巡っては、2010年に日本の調査捕鯨を妨害したとして、海上保安庁が傷害や威力業務妨害の疑いで逮捕状を取り、国際手配。今年7月、活動船の給油に立ち寄ったグリーンランドで拘束された。
デンマーク司法省は拘束後の勾留期間のほか、身柄引き渡しの場合に要する時間、容疑の対象行為から14年以上たっていることなどを考慮。「状況を全般的に評価」した結果、引き渡さないとの決定に至ったという。
デンマークのホメルゴー法相は声明で、さまざまな側面を考慮し「日本からの要請を実行しないと決めた」と表明。ただ、「一部で挙がった日本の司法制度や人権保護に関する懸念をわが国が共有することはない。日本は法による支配が行われている民主国家だ」とも強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕反捕鯨団体シー・シェパード(SS)創設者ポール・ワトソン容疑者(左)=10月2日、デンマーク領グリーンランド中心都市ヌーク(AFP時事)
2024年12月18日 12時33分