【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから、7日で1年半が経過した。1月に発効した停戦合意の延長を巡る交渉が暗礁に乗り上げ、イスラエルは3月18日に攻撃を再開。停戦は事実上崩壊した。イスラエルが攻勢を拡大する中、ガザの死者数は5万人を上回り、人道状況悪化に歯止めがかかっていない。
◇飢餓の危機再び
イスラエルは、ハマスが拘束する人質の解放実現には圧力が必要との立場で、連日のようにガザ各地に攻撃を加えている。ガザ保健当局は7日、過去24時間で57人の死亡を確認し、3月の攻撃再開以降の死者が1390人を超えたと発表した。子供の犠牲も増え続け、ハマスは「意図的に子供を殺害した。占領者(イスラエル)の残酷で野蛮な本性をさらけ出した」と非難した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)の今月4日の発表によると、イスラエルはガザの65%の地域への立ち入りを禁止。2週間で28万人以上が住居を追われたという。さらに、イスラエルは3月2日以降、ガザへの人道支援物資搬入を禁止。国連世界食糧計画(WFP)は、支援するガザのパン店がすべて閉鎖し、住民らが「飢餓と栄養失調のリスクに再び直面している」と強い懸念を表明した。
◇地上侵攻も強化
ハマスはロケット弾発射などで抵抗し、イスラエル側にも負傷者が出ている。同国首相府は6日、ネタニヤフ首相が「ハマスに対する集中的な作戦の継続」を承認したと明らかにした。南部ハンユニスと最南部ラファを分ける区域を「モラグ回廊」として新たに掌握するなど、空爆に加え地上侵攻も強化。ガザの25%の領域を占領する計画と報じられている。
停戦交渉は時限的な停戦延長を求めるイスラエルと、恒久停戦を要求するハマスが対立。これまで仲介国カタールなどで間接交渉が行われてきたが、3月の戦闘再開後、協議進展はほとんど伝えられていない。
イスラエルは40日間の停戦期間を設け、初日にハマスが人質11人を解放する案を示したと報じられているが、AFP通信によれば、ハマス関係者はこれを拒否。その上で、50日間の停戦中にハマスが5人の人質を解放し、イスラエルが250人のパレスチナ人受刑者らを釈放するとした仲介国エジプトなどによる別の案を支持すると表明している。
【時事通信社】
〔写真説明〕イスラエルによる攻撃を受け破壊された学校の校庭に立つ少年=4日、パレスチナ自治区ガザ北部ガザ市(AFP時事)
2025年04月08日 07時04分