情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会は29日、NTT法の見直しについて通信大手4社のトップから意見を聴取した。NTTの島田明社長は会合出席後に取材に応じ、昨年冬に自民党が提言した同法の廃止について、現時点では「できない」との見解を示した。KDDIの高橋誠社長ら競合3社の首脳は、会合で改めて廃止に反対を表明した。
自民党は昨冬、NTTの経営の自由度を高めることなどを狙い、固定電話の全国一律サービスなどを義務付けている同法の廃止を主張。島田社長も「役割はおおむね完遂した」との考えを示した。これに対し、ライバル3社は廃止すればNTTグループが一体化するなどして市場支配力が強まり、通信料金が高止まりしかねないと反発していた。
ただ、今月に入って特別委傘下の作業部会は報告書をまとめ、NTT法の多くの規定について現状維持や検討継続を求めた。この日の会合でも、一部の有識者委員が公正な競争環境を確保するため、NTT法と電気通信事業法の一本化に慎重な意見を表明した。
固定電話の全国一律サービスの提供義務に関し、報告書は他社サービスを受けられない地域に限定するよう求めた。島田社長は会合で賛同すると表明した上で、設備の維持などにかかる費用の負担軽減を要望した。
【時事通信社】
〔写真説明〕情報通信審議会の通信政策特別委員会に出席後、取材に応じるNTTの島田明社長=29日午前、東京・霞が関の総務省
〔写真説明〕情報通信審議会の通信政策特別委員会を終え、取材に応じる(左から)ソフトバンクの宮川潤一社長、KDDIの高橋誠社長、楽天モバイルの三木谷浩史会長=29日午後、東京・霞が関の総務省
2024年10月29日 20時18分