【ワシントン時事】世界銀行は29日発表した商品市場見通しで、中東情勢が一段と悪化し、この地域からの石油輸出が著しく減少した場合、国際指標の英国産北海ブレント相場が一時的に1バレル=92ドル近辺に跳ね上がると予測した。現在は71ドル台で推移しているものの、ショックで急上昇する恐れがあると警告した。
世銀は、中東情勢の混迷が深まることで、2024年末に供給が日量200万バレル落ち込むと想定した。これは世界産油量の約2%に相当し、03年のイラク戦争、11年のリビア内戦時の供給減に匹敵する規模という。原油価格の高騰はガソリンの値上がりにつながる。
ただ、ショックの約2カ月後には影響を大きく受けない産油国が増産し、原油相場は25年に緩やかに下落すると予測した。見通しでは、年内は1バレル=75ドル近辺を推移し、25年は年平均73ドルにとどまると見込んだ。
世銀は現時点で、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟産油国で構成する「OPECプラス」以外の米国などで増産される一方、主要消費国の中国で需要が減ると予想。「原油相場には相当の下落リスクがある」と分析した。
【時事通信社】
〔写真説明〕紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシ派の攻撃を受けた石油タンカー(AFP時事)
2024年10月30日 08時11分