軍配をもらった豊昇龍は、大きく息を吐いて納得の表情を見せた。「しっかり集中して、自分らしい相撲を取ることだけを考えていた」。大の里を突き放せずに2本差されかけたが、右腕を巻き付け、左脚一本で豪快な首投げ。後輩大関の巨体を裏返しにした。
「何より勝ってよかった」と言う一番でトップとの1差を堅持。一時の相撲っぷりがうそのように終盤戦で息を吹き返した。2度目の賜杯獲得だけでなく、その先の大願成就もあるかもしれない。
8日目から黒星が二つ並び、9日目までに平幕相手に3敗と印象は良くない。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、連敗を喫して横綱に昇進した例はなく、綱とりのムードはしぼんだかに思われた。昇進の可能性について問われた九重審判長(元大関千代大海)は「成績次第で審判部でいろいろな話は出ると思う」と応じた。状況は刻々と変わっている。
新顔も入り交じる大混戦となった今場所も、あと2日だけ。「今は楽しくやっている。いろいろ考え過ぎずに」。すっかり気負いのない様子の大関。昇進の機運を再びたぐり寄せられるか。
【時事通信社】
〔写真説明〕豊昇龍(左)は大の里を首投げで破る=24日、東京・両国国技館
2025年01月24日 20時41分