
どうして、こんなにもあと一歩が遠いのか―。日本は、またも歴史の扉を開けることはできなかった。ブラジルに痛恨の逆転負け。冨安健洋(アヤックス)は「何て言っていいのか分からない…」。延長戦突入が目前だった後半終了間際に決勝点を決められた。
試合開始直後の鬼気迫るハイプレスが効いて、前半は日本ペースで進んだ。佐野海舟(マインツ)がパスカットからドリブル突破で中央を切り裂き、目の覚めるようなシュートで先制に成功。だが、この一撃がW杯優勝最多5度の王国を覚醒させることになる。
後半、相手は左のビニシウスを大きく開かせる形に戦術変更。突破阻止を図り常に2人でマークする日本は、その空いた周囲をうまく使われ、クロスを放り込まれた。
「特に後半の彼らは、隙のないチームだった」と堂安律(アイントラハト・フランクフルト)。クロスからカゼミロに同点ゴールを許すと、その後はボールをかき出すのがやっと。本気のブラジルは一度手にした流れを手放さない。守備も強い鈴木淳之介(コペンハーゲン)と菅原由勢(ブレーメン)をウイングバックに入れても、好転はしなかった。
後半の追加タイム。自陣深くで田中碧(リーズ)が奪取したが、痛恨のミスで、再びボールが相手に渡った。人数はそろっていたが、わずかなほころびをつかれ、最後はマルチネリがシュート。再三のピンチを救ったGK鈴木彩艶(パルマ)の手をかすめ、無情にもゴールへ吸い込まれた。
同様に追加タイムで、ベルギーに決勝点を奪われた前々回のロシア大会。前回カタール大会では、1点リードを追い付かれてPK戦の末にクロアチアに屈した。
「なぜ勝てないのか、自分も分からない。ただ、本当に目の前までは来てる。けど、やっぱり一つ超えるのが、すごく難しい」と鎌田大地(クリスタルパレス)。5度目の決勝トーナメントも勝ち上がることはかなわなかった。
日本には試合を変えられる選手が残っていなかった。南野拓実(モナコ)、三笘薫(ブライトン)、久保建英(レアル・ソシエダード)の不在が、この決戦で響いた。それでも、日本が誇る組織力をもって、ブラジルを脅かすまでになったのは、日本サッカーの成長の証しだろう。
誰よりも走った前田大然(セルティック)は「僕たちがこれまでやってきたことは変わらない。胸を張って日本に帰りたい」。優勝を目指す「最高の景色」に向けた挑戦は、4年後に続く。
【時事通信社】
〔写真説明〕後半、ブラジルに勝ち越しゴールを許して集まる日本代表=29日、米ヒューストン
〔写真説明〕前半、ヘディングでクリアする冨安(左)=29日、米ヒューストン
〔写真説明〕前半、ブラジルのビニシウス(右)をマークする堂安(左)と伊東(中央)=29日、米ヒューストン
2026年06月30日 14時47分