見いだされた「原石」=光るスピード、「モノが違う」―恩師が語る伊東純也選手・W杯サッカー



サッカーのワールドカップ(W杯)日本代表、伊東純也選手(33)の持ち味は圧倒的スピードと鋭いドリブルだ。「イナズマ純也」の愛称で知られ、1次リーグ第2戦ではゴールも決めた。決して幼少期からエリート街道を歩んだわけではない。その才能を見いだした恩師は「一歩一歩進み、世界に挑戦できる選手」と活躍に期待を寄せる。

「ダイヤモンドの原石だった」と語るのは、神奈川大サッカー部監督の大森酉三郎さん(56)。「面白い選手がいる」と伊東選手の母校、神奈川県立逗葉高の監督から紹介され、高校3年の夏、同大の練習に参加させた。ダッシュに迫力があり、すぐに「モノが違う。スピードで勝負できる」と感じたという。

ただ、推薦入学のための実技試験当日、のんびりした性格の伊東選手の動きは緩慢だった。「きょうは何の日か分かっているのか」。大森さんが厳しく当たると、素直に頭を下げ、ようやくきびきびと動いた。「今思えば彼のスタイルだったのだろう」と振り返る。

強豪私立高がひしめく神奈川県で、当時、公立校出身の伊東選手の注目度は高くなかった。大森さんは「実績がなく受け入れには賛否あった」と明かす。「ディフェンスはあまりやらない。でも圧倒的に速い。ロマンをどう感じるかだった」。結局、大森さんの後押しで同大進学が決まった。

同大コーチとして指導した関森悟さん(40)によると、入学後、ピッチに立った伊東選手は、いきなりスピードで相手を置き去りにした。マークが厳しくなると立ち尽くすなど「壁」にもぶつかったが、守備の意識を高めるなどして、実力を高めた。3年で関東大学選抜に選ばれると、サッカーへの意識が一段と高まり、筋力トレーニングにも励むようになった。

伊東選手には人懐っこくルーズなところがあった。上級生に「ジュース、買ってよ」とねだり、遅刻を繰り返して丸刈りになったこともある。ただ、「非常に素直だった」とも回想した。

大森さんは「マイペースな探究心で、技術を積み上げていった」と太鼓判を押す。関森さんも「年々プレーの幅が広くなっている。もうスピードだけの選手じゃない」と成長を実感している。

スピードに加え、磨きを掛けたキックの精度は大きな武器となり、初戦の同点弾につながるコーナーキックでもその片りんを見せた。次戦のブラジル戦、イナズマはどのような光を見せるのか。

【時事通信社】 〔写真説明〕サッカー日本代表の伊東純也選手について、母校の神奈川大学サッカー部の食堂で取材に応じる大森酉三郎さん=4月9日、横浜市 〔写真説明〕チュニジア戦の後半、ゴールを決める伊東純也選手(左)=20日、メキシコ・モンテレイ

2026年06月29日 08時21分


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