毎日の料理をちょっとランクアップしたい。料理は得意ではないけれど、シンプルで美味しいごはんが食べたい。そんな人におすすめしたいのが「基本の調味料にこだわってみること」です。
普段使っている調味料よりも高価なものを選ぶのは少し勇気のいることですが、調味料は1回に使う量がそれほど多くないので実はそれほどコストパフォーマンスの悪いことではありません。
むしろ、良い調味料は少量でもしっかり旨味や味があるので、使う量が減り長く使うことができます。使う量が少ないのであれば少量パックで販売されているものを選ぶこともできますね。
和食の基本「さしすせそ」
調味料にこだわると言っても何から始めればいいの?とお悩みの時にはまずは普段からよく使っている調味料から変えてみると違いが分かりやすいかと思います。
いつもの料理がちょっと変わった!と実感すると一気に料理が楽しくなります。
基本的な調味料と言うとやはり和食の基本である「さしすせそ」でしょうか。さ:砂糖、し:塩、す:酢、せ:醤油(せうゆ)、そ:味噌 が基本の調味料になります。この基本的な調味料の基礎知識をご紹介していきます。まずは砂糖、塩、酢をご紹介する前編です。
砂糖
砂糖と一口に言っても様々な種類があります。スーパーに行くと白い砂糖と茶色い砂糖が売っているのを見たことがあるかと思いますが、これは作り方に違いがあるためです。
白い砂糖はさとうきびや砂糖大根といった原料から不純物やミネラルなどを取り除いて作っています。上白糖(白砂糖)やグラニュー糖など、頻繁に目にする砂糖はこの製法で作られているものです。
上白糖(白砂糖)
多くのご家庭に置いてあるお砂糖はこの上白糖かと思います。
上白糖はしっとりとした感触が特徴的で、しっかりとした甘さを感じることが出来る砂糖です。日本固有の白砂糖でクセがなく、お菓子・飲み物・料理など万能に使うことができます。
ジャムなどの食材自体の味を堪能したいものや、ピクルスなど色を付けたくない料理には特に向いています。
グラニュー糖
上白糖よりも結晶(粒)が大きいのが特徴で、世界的に見ると最も多く使われている砂糖です。サラサラとしていて溶けやすいのが特徴。他の砂糖に比べて血糖値が上がりやすいので大量摂取には注意したいところですが、上白糖と同じくクセがなく使いやすいので万能な砂糖だと言えます。
三温糖
三温糖は上白糖などを作る際に精製した糖液を煮詰めて作るものです。加熱する際に飴色になったもので、茶色い色は砂糖本来の色ではありません。
甘みが強く、香ばしいコクを感じる三温糖は煮物などの和食にぴったりです。きな粉との相性も良いのでわらび餅などにきなこと一緒に使うと美味しいですよ。
きび砂糖
きび砂糖は白砂糖を作る工程と同じように途中まで精製されますが、精製途中の砂糖液をそのまま煮詰めて作ります。精製されきっていないので、サトウキビの風味やミネラルといった栄養が残っています。
白砂糖と比べると風味やコクが強いので料理に使うと味に奥行きが出るとされています。しかし、すっきりした甘さを求める料理や色を付けたくない料理には向きません。
後述しますが、砂糖の中で一番栄養分の残っているのは黒砂糖です。しかし、コクが強いので使いこなすのには少しコツが必要です。
栄養のある砂糖を使いたい、けれど黒砂糖ほどのコクは不要という際にきび砂糖は丁度よく使える砂糖かと思います。
黒砂糖
黒砂糖は白砂糖と製法が異なり、精製されていない砂糖です。そのため、ミネラルやカリウムといった栄養が残っており、独特のコクと香りがあります。黒砂糖の製造工程で出る糖蜜、黒蜜の味はそのまま黒砂糖の味といえます。
洋菓子や黒砂糖の香りを出したくない料理には向かず、個性的な砂糖と言えますが、その分上手に使いこなせれば料理の腕はぐんと上がるでしょう。
砂糖は種類によって味わいが大きく変わります。仕上がりに色を出したいかどうか、コクや香りのある甘さを求めているのか、すっきりとした甘さを求めているのかなどの目的によって上手に使い分けることが大切だと言えます。
塩
海水塩、岩塩、シーズニングソルトなど塩の種類は数え切れない程あります。塩の摂りすぎは高血圧などの生活習慣病を引き起こすので適度な摂取が必要になりますが、過剰な減塩はミネラル不足を引き起こします。
しかし、全ての塩にミネラルが入っているわけではありませんのでご注意ください。
精製塩と自然塩
塩は大きく分類すると精製塩と自然塩とに分けられます。精製塩は科学的に加工された塩で、ミネラル物質がほとんど入っていません。純粋な塩成分である「塩化ナトリウム」が99%を占め、塩辛くて旨味が少ない性質があります。健康食塩という名前で売っている塩は精製塩に分類されます。
一方でミネラルを含み、健康にも良いとされている塩は「自然塩」や「天然塩」などと呼ばれます。天日干しなどの自然の力で結晶化させた塩でうま味も感じられます。
健康のことを考えるのであれば精製塩ではなく自然塩に分類されるものを選ぶと良いですね。
原料による違い
塩(自然塩)は何から作られているかといった原料によって次のように分けられます。
岩塩:地殻変動により地中の海水が干上がって出来た岩塩。日本には存在しないので岩塩は全て外国産のものになります。硬くて溶けづらい性質がありますが、しっかりとした塩味が肉料理などの素材の味を引き立てるのに役立ちます。
湖塩:塩分濃度の高い湖の水を使って作られた塩。生産量が限られるので高価であることが多い。
酢
酢というと「どれも酸っぱくて味の違いが分かりにくい」とお思いではないでしょうか?実はお酢も種類によって結構味が変わってきます。
穀物酢
穀物酢は米や麦、とうもろこしなどの穀類をブレンドして醸造した、日本では最も一般的な酢です。さっぱりとした爽やかな味で少しツンとした酸味を感じます。
他の酢と比べると価格が安く、肉や魚の臭み消しのための下ごしらえにも気軽に使えます。香りが少ないので、お酢煮や酢豚といった加熱する料理に使ってもいいですね。
米酢
穀物酢のうち、原材料に米または米と小麦もしくは大麦を加えたもののみを使用したものを米酢と言います。米の甘みと旨味が感じられるお酢で、先に述べた穀物酢よりも香りが強いのが特徴です。
お寿司に合わせる酢や加熱をしない酢の物、ドレッシング等に使うと香りを感じられるのでおすすめです。多少高価でもまろやかさを感じるものを選ぶと使い勝手が良いかもしれません。
果実酢
果汁を発酵させて作る酢です。果実の風味と酸味の柔らかさが特徴。水割りやソーダ割りなど、飲み物としても使うことが出来ます。甘みもあるのでドレッシングなどに入れても使いやすいです。
続けられそうなものを
いくらこだわりの調味料を選ぼうと考えても、こだわりすぎるあまりに日々の食費を圧迫してしまうようでは使い続けることは難しいです。
自分が「これだ」と思う調味料を使って料理をすると自信が出てきますし、プロの味にぐっと近づけることが出来る場合も。日々の食事の満足度が上がると外食の回数も減って節約に繋がるかもしれませんね。ぜひ、自炊生活を楽しんでください。