生活費、どこで暮らすかなど老後の生活で考えることは多々あります。その中でもイメージがつきにくいのが介護について。介護が必要ないまま最期まで元気でいられるか、また介護が必要になったとして実際にどのような介護が必要になるのか、かかるお金はどのくらいなのかなどは想像が出来ないものです。
まだ自分には関係ないという方でも、自分が介護に関わらなければいけなくなる可能性は突然やってくるものです。両親の介護、自分が介護を必要とする場合だってあるのです。どんなことがきっかけで介護が必要になるのか、何歳くらいで介護を受け始める人が多いのかを確認してみましょう。
介護が必要になるきっかけ
介護が必要になった原因として最も多いのは認知症です。(平成28年度厚生労働省調査より)要介護・要支援となった原因のうち認知症は18%を占めます。
寿命が伸びている近年、身体の不調よりも先に認知症を患う高齢者の方も増えています。誰だって認知症になる可能性がある現代では身近な話題として捉えておくことが大切です。
認知症に次いで多いのが脳卒中などの脳血管疾患です。 命にかかわるケースも多い病気で、一命を取り留めることができた場合でも体の麻痺や言語障害などの後遺症が残ってしまう場合が多いです。
また、後遺症により寝たきりの生活に繋がってしまうこともあるので注意が必要です。
その他の原因としては高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患がよく見られます。 大きな病気になっていなくとも、高齢になると衰弱や骨折のリスクは大きく高まります。
日常的に健康に気を配るのはもちろんのこと、家をバリアフリーにするなど怪我をしない対策をしっかり行うことも介護を受けずに健康でいるためには必要なことでしょう。
介護が必要になる年齢は?
では、実際に介護が必要となる年齢は何歳くらいからが多いのでしょうか?厚生労働省の調査によると要介護認定を受ける平均年齢は75歳とされています。
介護の段階としては自宅やサービス付高齢者住宅で介護を受ける要支援1~要介護3あたりまでがこの年代では多いようです。
そして80歳を超えたあたりから介護が必要となる可能性が高くなる、介護の度合いも高くなっていく傾向があるようです。
もちろん、環境や個人差が大きく出るものなので60代から介護が必要になる場合もありますし、90歳を過ぎても介護支援なしで元気に暮らしていける場合もあります。
介護保険は40歳以降、加入したときから利用することが出来ます。ただし65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者とでは利用できる条件が異なります。
介護保険サービスを受けるためには要介護認定を受ける必要があります。要介護認定の区分については次から詳しく説明していきます。
要介護認定の区分について
要介護認定とは介護を必要としている人がどのような介護を、どの程度必要とするのかを判定するためのものです。
介護保険サービスを受ける際にも、まずは要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定を受けるまでにはいくつかの手順を踏む必要があります。簡単にご紹介すると以下のようになります。
- 必要な書類の準備
- 市区町村へ申請
- 訪問調査を受ける
- 主治医意見書を医師に書いてもらう
- 審査
- 認定
要支援と要介護の違い
要介護認定には要介護と要支援の区分があります。要介護とは日常生活の基本的な行動の一部(あるいは全て)において介護が必要な状態のことを指します。
一方で要支援とは、介護は必要としないものの、日常生活に不便がある状態。状態の軽減や悪化の防止のための対応を必要としている状態のことを指します。
要支援と要介護の区分詳細
要支援は2段階、要介護は5段階に分けられます。それぞれどのような段階のものなのかを確認していきましょう。
要支援1
・食事や入浴、着替えや排泄などの基本的な日常生活は自分で行うことが可能
・日常生活の一部に見守りや手助けを必要とする
要支援2
・排泄や食事はほとんど自分で行うことが可能
・日常生活の一部に見守りや手助けを必要とする
・状態の維持、改善の可能性が高い状態
要介護1
・排泄や食事のほとんどは自分で行うことが可能
・混乱や理解低下がみられることがある
・日常生活の一部に見守りや手助けを必要とする
・立ち上がりや歩行が不安定で何らかの支えが必要な場合がある
要介護2
・排泄や食事に見守りや 軽度の手助けを必要とする場合がある
・混乱や理解低下がみられることがある
・日常生活の全般に見守りや軽度の手助けを必要とする
・立ち上がりや歩行が不安定で何らかの支えを必要とする
要介護3
・排泄がひとりで出来ない
・全般的な理解低下がみられることがある
・掃除や着替えなどが自分一人でできず、中等度の手助けを必要とする
・立ち上がりや歩行が不安定で自分一人でできないことがある
要介護4
・排泄がほぼ出来ない
・全般的な理解低下がみられることがある
・掃除や着替えなどが自分一人でできず、高等度の手助けを必要とする
・立ち上がりや歩行が不安定で自分一人でできない
要介護5
・食事や排泄が出来ない
・全般的な理解低下がみられることがある
・掃除や着替えなどが自分一人でできず、介護なしでの生活が難しい
・立ち上がりや歩行など自分の力で移動が出来ない
ここでご紹介した例はあくまで一例です。実際の判定は様々な条件によって決まるのでまずは市区町村の窓口に相談してみてください。
要介護認定を受けた人と要支援認定を受けた人とでは利用てきるサービスに違いがあります。
要介護者は施設サービスや居住サービスといった介護サービスを受けるでき、要支援者は介護予防サービスを受けることができます。
まとめ
介護が必要になるきっかけや、介護開始について多い年齢などをご紹介しました。両親も自分も、まだ元気なうちからこういった知識を身に着けておくのは大事なことです。
いつまでも自分の力で元気に暮らしていけるよう、健康でいたいものですね。