毎日の料理をちょっとランクアップしたい。料理は得意ではないけれど、シンプルで美味しいごはんが食べたい。そんな人におすすめしたいのが「基本の調味料にこだわってみること」です。
普段使っている調味料よりも高価なものを選ぶのは少し勇気のいることですが、調味料は1回に使う量がそれほど多くないので実はそれほどコストパフォーマンスの悪いことではありません。
むしろ、良い調味料は少量でもしっかり旨味や味があるので、使う量が減り長く使うことができます。使う量が少ないのであれば少量パックで販売されているものを選ぶこともできますね。
和食の基本「さしすせそ」
調味料にこだわると言っても何から始めればいいの?とお悩みの時にはまずは普段からよく使っている調味料から変えてみると違いが分かりやすいかと思います。
いつもの料理がちょっと変わった!と実感すると一気に料理が楽しくなります。
基本的な調味料と言うとやはり和食の基本である「さしすせそ」でしょうか。さ:砂糖、し:塩、す:酢、せ:醤油(せうゆ)、そ:味噌 が基本の調味料になります。この基本的な調味料の基礎知識をご紹介していきます。今回は醤油、味噌、そしてこちらも揃えておきたい調味料、酒とみりんについてご紹介する後編です。
砂糖、塩、酢についてご紹介している前編はこちら。
醤油
お寿司屋さんなどで様々な種類の醤油が並んでいるのを見たことがあるかと思います。醤油を大きく分類すると5種類に分けることができます。その5種類とは濃口醤油、薄口醤油、たまり醤油、再仕込み醤油です。それぞれの特徴をご紹介します。
濃口醤油
日本の醤油生産量の8割以上を占めるのがこの濃い口醤油です。煮物や焼き物などの料理にはもちろん、刺し身に漬けたり冷奴にかけたりと何にでも使われている醤油です。「濃口」の名前の通り色は濃い黒褐色をしています。塩分は約16%。どの醤油を選んだら良いか迷った時には濃い口醤油を選べば間違いないでしょう。
薄口醤油
薄口醤油はその名前から味(塩分)が薄めの醤油だと勘違いされてしまうことが多いですが、塩分濃度は18~19%と濃口醤油よりも高いのです。
色が薄めで、大量に入れなくとも味がつくので「素材の色を活かしたい料理」に向いています。綺麗な色を見せたい煮物などにもぴったりですね。
薄口醤油の色が薄い理由は塩分の濃度を上げることで発酵や熟成が進むのを抑えているためです。また醸造期間も濃口醤油と比べると短めです。醤油は発酵と熟成が進む程に色が濃くなっていくので、熟成期間の短い薄口醤油は色が出来上がります。
たまり醤油
濃口醤油・薄口醤油は大豆と小麦を原材料にして作られています。これに対してたまり醤油はほとんど大豆のみで作られています。
とろりとした濃厚さが特徴で、刺身用の醤油として用いられることが多いです。塩分濃度は濃口醤油と同じくらいです。
再仕込み醤油
醤油を2度醸造させる製法で作られるのが再仕込み醤油です。どろりとした感じと色の濃さが特徴です。価格が高めなので煮物や汁物など量が必要な料理にはあまり使われず、卓上用として刺し身などに付けて使われるのが一般的です。
「醤油」というと黒い色を想像するかと思いますが、実は新鮮な醤油は赤みがかった色をしています。醤油は空気に触れることでどんどん酸化していき、徐々に黒く変色していってしまうのです。酸化してしまうと当然香りや風味も損なわれてしまい、美味しさが半減します。
鮮度を売りとしていて密閉パックなどで販売されているお醤油は酸化しにくく、赤っぽい色をしている場合が多いのでぜひ香りの違いなどを実感してみてください。
醤油は鮮度が命の調味料でもあります。いくら良い醤油を買っても開封してから時間が経ってしまうと劣化してしまいますので、割高でも使い切れる量を購入することがおすすめです。
味噌
味噌は他の調味料と比較すると地域ごとの特色が強い調味料と言えます。気候によって味噌の種類が様々あり、全国的に見ると米味噌が多いですが、中部地方では豆味噌、九州や四国の一部では麦味噌が多く使われているといった特色があります。
米味噌
米味噌は米、大豆、塩を原料にして作られます。国内に流通している味噌は約8割が米味噌です。大豆に米麹を加えて作られており、クセのない味なのでどんな料理にも使いやすいです。
豆味噌
豆味噌は大豆に豆麹を加えて作られます。つまり主原料は大豆のみで出来た味噌です。他の味噌よりも熟成期間が長く、水分が抜けた硬めの味噌であることが特徴です。
一般的な味噌と比べると糖質が少なく、甘みが弱く塩味を強めに感じます。旨味や香り、コクが強く感じられ、煮込んでも香りの変化が少ないので味噌煮料理に向いています。
麦味噌
大豆に麦麹を加えて作ったのが麦味噌です。麦の香ばしい香りや甘みが感じられるのが特徴で、その風味を生かして野菜スティックに付けて食べられたりもします。
まずは味による分類。塩の量と麹の割合で甘味噌、甘口味噌、辛口味噌とに分けられます。入っている塩の量が一定であるのなら麹の割合が多い程甘口になります。
次に色による分類。味噌は出来上がりの色によって赤系味噌、淡色系味噌、白味噌に分けられます。色の違いは原料の種類や発酵のさせかたなどによって変わってきます。
味噌は複数の種類をブレンドして使うとよりコクが出て美味しいと言われています。
その際は作られた場所の距離が離れたもの同士がおすすめです。理由は「生産地の距離が離れると製法や味わいも大きく変わってくるため」です。味わいや風味の異なる味噌同士を合わせることで特徴をいい感じに補い合ってくれるということになります。
酒
基本の調味料の他に料理をする際によく利用されるのが料理酒です。料理酒=日本酒?と考える方も多いですが、実は別物なのです。
清酒と料理酒
一般的に飲料用として飲まれているお酒は清酒と呼ばれます。これは塩などの添加物が入っておらず、購入の際には酒税がかかります。
一方で料理酒と呼ばれる酒には料理に旨味やコクを出すために食塩や甘味料などが添加されています。そのため、飲料用としては販売されておらず酒税もかかりません。
料理酒を選ぶ際には添加物が入っているかどうかを確認してみましょう。添加物の入っている料理酒は安価に購入できることが多いですが、添加物の少ない・入っていない料理酒はこだわって作られているため高価になっている場合が多いです。
しかし、料理酒にこだわってみると手作りの和食がより美味しく出来るようになるはずです。ぜひお気に入りの料理酒を探してみてくださいね。
料理酒は清酒と比較して旨味成分であるアミノ酸が多いことがメリットです。これに対して飲み口の爽やかな日本酒(清酒)は、アミノ酸の量がそれほど多くありません。「そのまま飲んで美味しい日本酒」が料理に使っても美味しいとは限りませんので注意しましょう。
清酒を料理に使う場合には大甘口に分類されるような甘い味わいのものを使ってみてください。
みりん
煮物をする際などには欠かせないみりん。極端に安いものから中にはお酒と変わらないような価格のものまで品質は幅広いです。
みりんは魚の煮物などでは臭みを消したり煮崩れを防いだり。肉料理などでは照りを出したり旨味を閉じ込めてくれる役割を果たします。
本みりんとみりん風味調味料
本みりんとはもち米・米麹・アルコールを原材料に作られたものです。アルコールが14%程度含まれており、酒税の対象になります。
一方、みりん風調味料は水飴やブドウ糖など甘みや旨味を加えて本みりんに味を近づけて作った調味料の事を言います。中には食塩が加えられているものも。
みりん風調味料は、本みりんと比べるとやはり味の質は劣ってしまいます。和食を作る頻度が高いというご家庭はぜひ本みりん 1本 用意してみるのはいかがでしょうか?
スーパーなどで販売されている本みりんは、手頃な価格で手に入れられるものもありますのでぜひ確認してください。
まとめ
各調味料の作られ方や特徴についてご紹介しました。全ての材料にこだわらなければと気を張るのではなく、「この調味料美味しい!」と思えるものを探すのを楽しんでみてくださいね。
調味料にこだわると毎日の料理がきっと楽しくなりますよ。