【ロサンゼルス時事】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出規制の動きが広がる米国で、銃販売店の営業の是非に関する論争が起きている。スーパーや薬局など生活必需品を扱う店以外は閉鎖を命じられたが、米社会で銃所持は「憲法で保障された武装権」と見なされており、銃販売が必要不可欠かどうかで混乱も生じている。
米国では3月以降、社会不安を反映して銃器や弾薬を買い求める人が店に殺到し、長蛇の列ができる様子が報じられた。各地で住民の外出を規制する動きが広がったが、銃販売店については、中西部イリノイ州など多くの州が営業を認めており、東部ニュージャージー州では営業継続を求める訴訟が起こされた。
西部カリフォルニア州ロサンゼルスでは、地元郡の保安官が銃販売店の閉鎖を要求したが、営業を続けられるという法律家の意見を踏まえ、いったん留保して州知事に判断を仰いだ。ニューサム知事は記者会見で「各地域の保安当局に結論を委ねる」と表明。これを受けて、保安官は改めて一般客への銃の販売を停止するよう命じた。
銃のロビー団体「全米射撃スポーツ財団」は、営業が認められる業種に銃関連産業を指定するよう求める書簡を連邦政府に送付。「生存のためには水や食料、避難所、最適な医療が最も重要だが、自分自身や家族、家、ビジネス、財産を防衛する力も同じだ」と訴えた。
一方、販売店の閉鎖を命じたカリフォルニア州サンノゼのリッカード市長は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「食料のため銃に頼らなければならない西部開拓時代ではない」と強調。「銃販売店が必要不可欠なサービスという主張に根拠を見いだすのは難しい」と指摘した。
【時事通信社】
〔写真説明〕米国の銃販売店=20日、西部ユタ州オレム(AFP時事)
2020年03月29日 06時23分