日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告(70)の報酬隠しに関与したとして、金融商品取引法違反罪に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(68)の控訴審判決が4日、東京高裁であった。家令和典裁判長は懲役6月、執行猶予3年とした一審東京地裁判決を支持し、検察、弁護側双方の控訴を棄却した。弁護側は即日上告。ケリー被告は出廷しなかった。
2022年の一審判決は、ゴーン被告の10~17年度の報酬額が有価証券報告書に約91億円過少に記載されたと認定。法人としての日産に罰金2億円=確定=を言い渡したが、ケリー被告については報酬隠しのうち7年分は認識していなかったとして1年分のみ有罪とした。
家令裁判長は、検察との「司法取引」に応じた元秘書室長が報酬隠しへのケリー被告の関与を証言したことに言及。「有利な取り扱いを受けたい思いで検察官の意向に沿う供述をする危険性がある」として証言の信用性をほぼ認めず、7年分を無罪とした一審判決に誤りはないと指摘した。
一方、弁護側は一審で有罪とされた1年分について、有価証券報告書で開示すべき未払い報酬額を記載した文書をケリー被告に見せたとする同室長の証言は信用できないと主張したが、文書のファイル名に同被告の名前が記されていたことなどから「証言を十分に裏付けるものだ」と退けた。
判決によると、ケリー被告はゴーン被告らと共謀し、17年度のゴーン被告の報酬総額を約17億円過少に記載した有価証券報告書を提出した。
【時事通信社】
〔写真説明〕グレッグ・ケリー被告
2025年02月04日 18時33分