海保巡視船にスターリンク導入=ネット解禁、若手にアピール



海上保安庁の大型巡視船12隻に、3月から人工衛星網による高速通信サービス「スターリンク」が導入された。船上でも陸上と同じようにインターネットが使えるようになり、離職者の増加や志望者の減少で人材確保に苦慮する中、若手へのアピール材料の一つにしたい考えだ。

海保によると、スターリンクはもともと、電波妨害や故障などで業務用の衛星回線が利用できなくなった場合に備え、導入が決まった。情報通信システムの強靱(きょうじん)化を図る目的で、2032年度までに、少なくとも大型の巡視船や測量船計85隻に順次導入する計画だ。

一方、業務に使用しない際は、福利厚生の一環として、職員が勤務時間外に私用スマートフォンなどをつなぎ、ネット接続できるようにした。これまでは、通信速度の制約で衛星回線でのネット利用を認めず、テキストメールを送受信することしかできなかった。

陸上の生活では「常時ネット接続」が当然の中、長期間洋上で勤務する間、ネットが使えないことは職員にとって大きなストレスとなっていた。スターリンク導入でLINEでメッセージを送ったり、ビデオ通話したりすることも可能になり、職員からは「家族や友人と連絡が取りやすくなり、社会情勢の情報も入手しやすくなった」と歓迎する声が上がっているという。

一方、安全上の観点から、スマホの位置情報をオフにする▽SNSに業務情報を投稿しない―などのルール徹底を改めて求めた。

船上ではプライベート空間が限られていることから、海保は完全個室の導入も検討。船上生活の改善を図ることで人材確保にも努めたい考えで、担当者は「船上も常時接続する環境になった。ぜひ就職先として考えてほしい」と話した。

【時事通信社】 〔写真説明〕海上保安庁の巡視船に導入された高速通信サービス「スターリンク」のアンテナ(同庁提供)

2025年04月09日 13時31分


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