
政府は4日の閣議で、2026年版防衛白書を了承した。無人機や人工知能(AI)を活用した「新しい戦い方」の出現を踏まえて1章を設け、対応を急ぐ必要性を強調。太平洋側に進出する中国軍の動きに警戒感を表明し、「総合的な国力」で対処すべきだと訴えた。
新しい戦い方に関し、ロシアが侵攻したウクライナの戦場では安価な無人装備と従来のミサイルを組み合わせた「大規模な複合攻撃」が展開されたと説明。長期戦への備えも課題になったとの認識を示し、「平素からの備蓄や持続的な対応能力を確保することの重要性が浮き彫りとなっている」と指摘した。
白書は中国の軍事動向について「わが国と国際社会の深刻な懸念事項で、最大の戦略的挑戦だ」とする近年の表現を踏襲した。対応策として同盟国・同志国との連携と併せ、総合的な国力の強化を挙げた。
空母2隻が25年6月に太平洋で初めて同時展開したケースに触れ、遠方の海空域での作戦能力を高めていると分析。中国の空母機が自衛隊機にレーダーを照射した同年12月の事案を「危険な行為で、極めて遺憾だ」と非難した。
中ロ両国が軍事面で連携を一層強めているとの見方も示した。その上で、爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行は「わが国に対する示威活動を明確に意図したものだ」と警鐘を鳴らした。
防衛力の強化に関し、軍民両用(デュアルユース)技術の取り込みが不可欠だと強調。日本の科学技術力の向上とイノベーションの創出は総合的な国力の「主要な要素」だとし、防衛技術基盤を確立する必要性を説いた。
政府が今年4月に防衛装備移転三原則とその運用指針を改定し、国産装備品の輸出を限定してきた「5類型」の制約を撤廃したことを紹介。「共通の装備品を保有し、生産・維持整備基盤を共有することで相互に支援する環境を構築できる」と指摘し、同盟国・同志国との連携強化の手段としても移転促進を図る方針を示した。
北朝鮮に関しては、急速に進むロシアとの軍事協力に言及し、「北朝鮮の軍事力が中長期的に増強される恐れがある」と明記した。
【時事通信社】
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相ら(右から3人目)=4日午前、首相官邸
〔写真説明〕台湾国防部(国防省)が2025年12月17日に公開した中国空母「福建」の写真(撮影日時・場所は非公表)
2026年08月04日 15時26分