
米イラン紛争に終わりが見えず、中東にエネルギー供給を依存するアジア経済が大きく圧迫されるとの懸念は根強い。だが、今のところさほど鈍化は見受けられず、「影響を感じられないほどだ」(米エコノミスト)との声も上がる。背景には、世界的な人工知能(AI)投資ブームによる好調な輸出に支えられている側面がありそうだ。
米イスラエルの攻撃に対するイランの報復で、原油輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖されている状況が続く。国際通貨基金(IMF)によると、アジアに供給される石油の約半分が通常、ホルムズ海峡を通過。封鎖が長引くほど供給不足が深刻化し、アジア経済の動揺は不可避とみられていた。
米ムーディーズ・アナリティックスの国際経済部門責任者ガウラブ・ガングリー氏は時事通信のインタビューで、AI需要の堅調さを反映し、韓国や台湾を中心に半導体関連製品の輸出が増加したと指摘。マレーシアやインドネシアでも電子機器輸出が堅調で、経済を下支えしていると分析し、「AI需要でアジア経済は好調だ。嵐を乗り切るだろう」と見通した。
一方、タイや中国などでは消費の弱さが顕在化しており、AI需要を除けば各国経済は弱さも露呈する。米投資会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのアジア・パシフィック統括責任者、ジョン・アレン氏は、AIブームの恩恵をアジアのすべての経済圏が直接受けているわけではないとした上で、「石油製品の供給混乱が続けば、実体経済への痛みも強くなる」と警告した。
〔写真説明〕インタビューに応じる米ムーディーズ・アナリティックスのガウラブ・ガングリー氏=12日、東京都港区
2026年05月15日 07時47分