中国、中小企業支援に本腰=新型肺炎で失業拡大を警戒



【北京時事】中国が新型肺炎の影響で経営難に直面する中小企業に対し、社会保険料の免除や実質的な「利下げ」などを通じ、支援を本格化させている。中小企業は雇用の受け皿となっており、対策の強化には失業拡大を食い止める狙いもある。

中国では移動制限や自宅待機に伴い、1月下旬の春節(旧正月)連休に帰省した出稼ぎ労働者の職場復帰が遅れ、企業活動が滞っている。商店の休業や市民の外出自粛で消費も低迷しており、苦境に陥る企業が急増している。

清華大学と北京大学が中小企業を対象に実施した調査では、3カ月以内に資金を使い果たすとの回答が85%に達した。収入が落ち込む一方、従業員の給与や賃貸料の負担がのしかかり、資金繰りに窮している実態が浮き彫りになった。

こうした中、中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行貸出金利の指標である最優遇貸出金利(LPR)を3カ月ぶりに引き下げた。銀行はLPRに基づいて融資金利を決めるため、引き下げは企業の資金調達コストの軽減につながる。

一方、政府は18日、中小企業による養老保険(年金)や失業保険の保険料支払いを6月まで免除する方針を決定。物流の活性化に向け、17日には全国で高速道路を無料化した。14日時点で約900億元(約1兆4000億円)を対策に充てたとしている。

雇用の大半を担う中小企業の経営難が長期化すれば、失業者が増加し、社会不安が高まりかねない。国営新華社通信によると、習近平国家主席は10日の北京市内視察で、新型肺炎対策では「就業問題を注視し、大規模な人員削減を防ぐ」と言明。失業拡大に神経をとがらせていることをうかがわせた。

2020年02月20日 18時38分

international


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース