
9月19日に開幕する愛知・名古屋アジア大会は選手村を建設しない代わりに、宿泊拠点の一つとして大型クルーズ船を採用する。国内開催の大規模国際大会で船舶を「ホテルシップ」として活用するのは初の試みで、世界的にも珍しいという。
当初は選手村の建設を予定していたものの、物価高などによる費用高騰で断念。ただ、選手同士の交流を深めるという観点から、クルーズ船や移動式の宿泊施設、既存ホテルの活用を決めた。
使用するクルーズ船は、全長約290メートルのイタリア船籍「コスタ・セレーナ」号。約1500の客室に加え、フィットネスジム、開放感のあるデッキやダイニングホールを備える。名古屋港に停泊し、選手ら延べ約4000人が宿泊する見込みだ。
大会組織委員会で宿泊を担当する早川正志氏は「設備は充実し、ホテルと同等のサービスも受けられる」と太鼓判を押す。客室は6種類あり、「待遇の差が生まれないように、複数タイプの船室をセットにして各国選手団へ提供する」と話す。
異例の取り組みだけに、組織委は手探りで準備を進める。外航船舶のため、人や物資の出入り一つを取っても入国管理や税関、検疫審査が必要。早川氏は「何か決めるにしても前例がなく、一つずつ考えなければならない」と難しさも語る。
自然災害への備えも欠かせない。第4管区海上保安本部(名古屋市)によると、台風の接近が見込まれる場合は事前に警戒体制を取り、大きな波が起きにくい沖合への避難を促すという。林一馬本部長は「選手と観客が安心して楽しめるよう、海の安全を守っていく」と請け合う。
開幕まで1カ月を切った。選手が乗り降りする岸壁までの動線の確保や雑貨店の整備など、準備は最終段階にある。早川氏は「成功させなければというプレッシャーはある」としつつ、「今回の取り組みが、今後の大規模大会のモデルケースになれたら」と期待した。
【時事通信社】
〔写真説明〕アジア大会で使用されるクルーズ船「コスタ・セレーナ((C)コスタクルーズ)」(愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会提供)
2026年08月25日 15時00分