
【ワシントン時事】金融市場では、米長期国債の利回り上昇に歯止めがかからない。米財務省は19日、急騰した利回りの抑制を目指し、長期債の買い戻し額を増額する異例の措置を発表。ただ、財政不安や、中東情勢悪化による原油高を背景としたインフレ懸念などの根強さが色濃く残っているため、押し下げ効果はわずか1日で消えた。
財政不安などに加え、米IT企業が人工知能(AI)投資拡大に向けて社債発行を活発化させていることもあり、世界的に金利が上昇。18日には米30年物国債の利回りが一時19年ぶりの高水準を付けた。
危機意識を持つ財務省は、期間10~30年の国債の買い戻しについて、1回当たりの上限額を少なくとも2倍超の40億ドル(約6400億円)に増やす方針を打ち出した。対策を公表した19日の市場では、長期債の買いが膨らみ利回りが大きく下がった。
いったんは好感されたが、20日以降は金利上昇に転じた。40兆ドル(約6400兆円)の大台を初めて突破した連邦債務の膨張を防ぐ手だてがないことへの懸念が拡大。期間が9月から11月までの買い戻しは対症療法にすぎないことも要因とみられる。
利払い費抑制を狙うトランプ政権にとって、金利低下は重要課題だ。ベセント財務長官は20日、米テレビで「大きな政策手段がある」と強調。上限額をさらに増やす可能性にも言及したが、市場では「かえって窮状を示すことになり逆効果」(アナリスト)と批判的な声も上がる。
買い戻しに必要な財源確保には、短期債の発行が想定される。連邦準備制度理事会(FRB)が購入するかが今後の焦点。短期債増発は短期金利の上昇を招き、金融機関の資金繰りを悪化させるリスクを抱える。5月に就任したウォーシュ議長は財政支援目的の国債買い支えには否定的だが、短期金利の急騰回避に向け、市場ではFRBが引き受け手になるとの観測も浮上している。
【時事通信社】
〔写真説明〕ベセント米財務長官=20日、ワシントン(EPA時事)
2026年08月22日 20時32分