「二つの海峡」安定に注力=日本政府、原油輸送確保狙う―首脳外交求める声



茂木敏充外相は22日、サウジアラビアとオマーンの中東2カ国歴訪を終え、帰国した。6日間の訪問で狙ったのは、原油輸送の要衝、ホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡の「自由で安全な航行」の確保だ。米国とイランの戦闘終結に向けた協議の行方が見通せない中、高市早苗首相の対面による首脳外交に期待する声も出ている。

「オマーンでは海水淡水化事業が進められており、積極的な役割を果たしたい」。茂木氏は20日、同国の首都マスカットでバドル外相と会談し、こう約束した。

オマーンはホルムズ海峡の南側の沿岸国だ。海峡を挟んで向かい合うイランと海峡の在り方を巡って協議を続ける。イランは協議の中で民間船舶などからの通航料の徴収を主張しているとされるが、日本は国際法違反だとして反対の立場だ。

オマーンが重視する海水淡水化事業の支援を茂木氏が打ち出した背景には、ホルムズ海峡での「追加的費用のない形での自由で安全な航行」回復をイランに働き掛けてもらう狙いがある。会談でバドル氏から「国際法にのっとった形で海峡の在り方が決定されるべきだ」との言葉を引き出すと、茂木氏は「力強い」と手応えを口にした。

茂木氏はオマーンに先立ってサウジも訪れた。サウジは「アラブの盟主」とされ、アラブ諸国に影響力を持つ。茂木氏はファイサル外相との会談で「自由で安全な航行」の重要性を確認した。併せて湾岸諸国の経済・エネルギー強靱(きょうじん)化に向けた包括的協力計画をまとめていると説明し、サウジが力を入れる「東西パイプライン」の拡張工事を支援する考えも伝えた。

日本は原油の9割を中東に依存してきた。ホルムズ海峡封鎖を受け、アラビア半島を挟んで同海峡の反対側にあるバベルマンデブ海峡の重要性が増しているが、沿岸国のイエメンの親イラン武装組織フーシ派が同海峡を通航するサウジの船舶を攻撃しており、情勢が不安定化している。

茂木氏はサウジ滞在中、同国に拠点を置くイエメン暫定政権トップのアリーミ大統領評議会議長とも会談し、同海峡の安定確保などに向けて緊密に連携していくことを申し合わせた。

「二つの海峡」の安定に向けて注力するのは外相だけではない。首相は今月に入り、オマーン、イラン、トルコの首脳と電話会談し、協力を求めた。ただ、夏の外国訪問を見送った首相に対しては、政府内から「イラン訪問が実現すれば日本の存在感を示す絶好の機会になる」(関係者)と一段の対応を期待する声も漏れる。

【時事通信社】 〔写真説明〕握手する茂木敏充外相(左)とオマーンのバドル外相=20日、マスカット(外務省提供) 〔写真説明〕会談する茂木敏充外相(左)とオマーンのバドル外相=20日、マスカット(外務省提供)

2026年08月23日 19時01分


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