一般社団法人 日本電子機器補修協会

rogo

公民館がクラゲ水族館に=震災で失った友への思い抱え―元飼育員が奔走・福井



福井市の海沿いの公民館が今夏、小さなクラゲ水族館に生まれ変わる。「人と生き物を結ぶ場所にしたい」。企画した元水族館飼育員の田中俊之さん(42)は、かつて夢を共有し、東日本大震災の津波で犠牲となった友人への思いを胸に、開館準備を進めている。

水族館は、使わなくなった公民館を改装して再利用するもので、田中さんの提案が2月、福井市に採択された。1年目の入館者目標は3万人で、開業資金約1500万円はクラウドファンディングなどで集める。

水槽の中のクラゲを幻想的にライトアップし、シェフと協力しクラゲを食べる体験型イベントも計画。地元の海の生き物も展示するなどして地域活性化につなげる。長年、構想を温めてきた田中さんは「やっとスタートラインに立った」と気を引き締める。

子どものころから動物図鑑を持ち歩いていたという田中さんは、福井県内の高校を卒業後、地元の郵便局に就職した。しかし、「生き物と関わる仕事に就きたい」との夢を捨て切れず、24歳で上京。新江ノ島水族館(神奈川県)をはじめ、岐阜県や福井県で10年以上、飼育員を務め、クラゲの飼育や展示方法を学んだ。36歳の時、飼育員仲間と福井県内にクラゲ販売店をオープン。環境問題をテーマに小学校の出前授業なども続けてきた。

「いつか自分の水族館を造りたい」と思い続けた田中さんには、かつて同じ夢を語り合った仲間がいた。2004年、鹿児島県屋久島でのウミガメ生態調査ボランティアで知り合った女性だ。「多くの人が生き物や環境に興味を持ってくれたらいい」と意気投合し、交流は女性が地元の仙台市に帰っても続いた。「いつかあなたの水族館を見たい」と話していたが、11年3月11日、宮城県名取市の勤務先で津波に巻き込まれ、29歳で亡くなった。

8月の水族館開館を目指し、資金集めなどに奔走する田中さんは「(天国から)応援してくれていると思うと頑張れる」と笑顔を見せる。「彼女の思いをかなえる場所としても、唯一無二の名物スポットにしたい」と目を輝かせた。

【時事通信社】 〔写真説明〕勤務していた越前松島水族館(福井県坂井市)でウミガメを持ち上げる田中俊之さん=2012年(田中さん提供) 〔写真説明〕出前授業で小学生に水族館の仕事について語る田中俊之さん(左)=2020年11月、福井市(田中さん提供)

2021年03月08日 05時36分


関連記事

配転「職種限定合意に違反」=適法判断

宗教2世虐待、47件把握=「恐怖あお

脱線から19年、犠牲者追悼=JR西社

宝島さんと都内空き家で接触か=逮捕の

旅客船事業の規制厳格化=海保は救助体

追悼式で遺族ら献花=犠牲者の冥福祈る

車から宝島さん妻の免許証、血痕も=発

米グーグルに初の行政処分=ヤフー広告

海洋観測艦派遣し深海調査=ヘリ事故、

事件前、粘着テープやガソリン購入=逮

災害伝承碑「活用を」=地図記号発表か

紅麹被害、実態解明急ぐ=機能性食品、

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース