【ワシントン時事】11月5日の米大統領選は、無所属で出馬後に撤退を表明したロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)の名前が一部州の投票用紙に記載されたまま、投票日を迎えることになりそうだ。ケネディ氏は撤退後、共和党のトランプ前大統領支持に回ったが、有権者がケネディ氏に投票する可能性は残っており、激戦州での結果を左右しかねない。
10月23日、南部ジョージア州でトランプ氏の選挙集会に参加したケネディ氏は「米国を再び健康にしよう」と訴えた。ケネディ氏はジョン・F・ケネディ元大統領(民主党)のおい。高い知名度を武器に、かつては民主、共和両党に批判的な有権者の受け皿だっただけに、その支持はトランプ氏の追い風になるとみられていた。
米大統領選は日本のように意中の候補者名を空欄に書くのではなく、投票用紙にあらかじめ記載された候補者名に印を付ける仕組み。ケネディ氏は全米で100万人以上の署名を集め、大半の州で候補者としての登録手続きを進めた。
8月23日の撤退表明時には「激戦州で私の名前を候補者リストから外し、私に投票しないよう支持者に呼び掛ける」と語っていた。しかし、投票用紙の印刷が既に始まっていたり、死亡以外の理由で削除できないと州法で定められていたりしたため、多くの州で難航。CBSテレビによると、全米50州のうち32州とワシントンでケネディ氏の名前が投票用紙に記載されたままだ。
32州には激戦州の中西部ミシガン、ウィスコンシン両州が含まれている。ケネディ氏は両州で名前の削除を求める訴訟を起こし、いずれも州最高裁まで争ったものの、最終的に候補者として残ることになった。
政治専門紙ヒルの世論調査では、10月22日時点でケネディ氏の大統領候補としての支持率は、全米で依然2.1%ある。ミシガン、ウィスコンシン両州では、民主党のハリス副大統領とトランプ氏がほぼ互角の情勢。ペンシルベニア州立大のダン・マリンソン准教授(政治学)は、時事通信の取材に「僅差で勝敗が決まる激戦州でケネディ氏が(民主、共和両党への)批判票を集めれば、結果に影響を及ぼす可能性はある」と指摘している。
【時事通信社】
〔写真説明〕23日、米南部ジョージア州ダルースで開かれたトランプ前大統領(左)の選挙集会に参加したロバート・ケネディ・ジュニア氏(EPA時事)
2024年10月28日 18時03分