金融庁、AIで業務効率化=ヒアリング文書要約、高速検索も



金融庁が人工知能(AI)を活用して業務の効率化を進めている。今夏に各部署が保有している金融機関のヒアリング文書を高速検索するシステムを導入。自然言語処理技術を用いたAIが内容を分析し、要約する機能も持たせた。今後、国会答弁に向けて準備した文書を検索できるシステムも稼働させ、答弁書の作成などを効率化する。

金融庁の職員が日々、金融機関の担当者らから聞き取った内容を記録した膨大な文書には、銀行の経営状態などの情報も含まれ、機密性が高い。同庁はこれらの文書を庁内サーバーの各課・室の共有フォルダに保存しているが、これまで高速に検索できるシステムがなく、一つ一つファイルを探さなければならなかった。

新たなシステムでは、起動時に利用者が所属する課・室の共有フォルダに保存された文書を、いったんすべてパソコン内に読み込むため、高速に検索できるという。無関係の部署の職員はメモを閲覧できないようアクセスが制限されているほか、パソコンの電源を切れば読み込んだデータが消える仕組みで、不正持ち出しのリスクも低い。

システムは入庁10年目の結城海月係長が企画し、民間のIT企業から出向している山田翔平専門官の協力を得て完成させた。結城係長は自身も過去の文書を探すのに苦労していたといい、「みんな同じ課題を抱えているのではないかという問題意識で思い付いた」と話した。

金融庁は、今夏公表した今後1年間の重点施策をまとめた金融行政方針の中で、民間での健全なAI活用に加え、庁内でもリスク分析などへの活用を進める姿勢を示している。28日召集の臨時国会に合わせて、国会答弁の関連文書の検索システムを試験導入する方針だ。

【時事通信社】 〔写真説明〕ヒアリング文書の検索システムを示す金融庁の結城海月係長(左)と山田翔平専門官=10月11日、東京・霞が関の同庁

2024年11月25日 13時30分


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