外国株投信に高い人気=「長期・分散」再確認を・専門家―新NISA1年



株や投資信託の運用益非課税枠を拡充した新NISA(少額投資非課税制度)の開始から1年。米国株や世界株で構成する指数に連動した「外国株式型」投信の運用成績は昨年好調で、個人投資家の高い人気を集めた。市場では今年も米国株は堅調に推移するとの予想が主流だが、20日に発足するトランプ米政権の高関税政策は波乱要因との警戒感も強い。専門家は市場の変動に備え、資産形成の原則である「長期投資」と「リスク分散」を再確認するよう呼び掛けている。

日本証券業協会によると、大手証券(対面・インターネット)10社でのNISA口座の買い付け額は2024年1~11月に計11.8兆円。前年同期比3.7倍で、うち6割は投信に向かった。

三菱アセット・ブレインズ(東京)の調べでは、24年の資金流入額は「全世界株式(オール・カントリー)」指数に連動する投信が首位で、米国主要株「S&P500」指数に連動する投信が2位。年初から年末にかけた値上がり率は全世界株投信が33%、S&P500投信は42%と、東証株価指数(TOPIX)連動投信の20%を大きく上回った。

三菱アセットの標陽平シニアアナリストは「両投信ともITや半導体、電気自動車など成長性の高い米国株が上昇をけん引した」と分析。円安進行も寄与したとみる。

一方、動画サイト「バンクアカデミー」を通じて資産形成情報を発信する小林亮平氏は「1年で4割の伸びは歴史的にも珍しく、好材料が重なった結果。同じ調子が続くと当然視するのは禁物だ」と指摘する。

実際、トランプ氏が掲げる関税の大幅引き上げは世界経済を急減速させかねず、円安も日米の金融政策の行方などによっては修正される可能性がある。大和総研の熊谷亮丸副理事長は「投資は余裕資金で、リスクを分散しながら長期的視野で行うもの。世界へのアンテナを高く張っておくことが大切だ」と話している。

【時事通信社】 〔写真説明〕スマートフォンを使うビジネスマン(写真はイメージ)

2025年01月16日 08時36分


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