鈴木馨祐法相は10日、危険運転致死傷罪の要件見直しを、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。超過速度や体内アルコール濃度に数値基準を設けることの是非を議論。併せて、株主総会を完全オンラインで開催する「バーチャルオンリー株主総会」の法制化も諮問した。
悪質な運転に適用される自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪は、法定刑の上限が懲役20年で、過失運転致死傷罪の懲役7年より重い。ただ、現行法は「進行制御が困難な高速度」などと要件が曖昧で、裁判所の判断にばらつきが生じているとの指摘が出ていた。
法務省は、昨年2月に有識者検討会を立ち上げ、見直しの議論を開始。同11月にまとめた報告書は、数値基準の新設などを提言した。法制審では、タイヤを意図的に横滑りさせる「ドリフト走行」を処罰対象に加えることも検討する。
一方、完全オンラインの株主総会は現在、新型コロナウイルス感染拡大を受けた特例措置として認められている。法制審は、招集に当たり開催場所を定めなければならない会社法の規制緩和を議論。株主名簿に載らないものの事実上の議決権を持つ「実質株主」の情報を、企業が請求できる仕組みの創設も論点となる。
【時事通信社】
〔写真説明〕法制審議会に自動車運転処罰法などの見直しを諮問する鈴木馨祐法相=10日、法務省
2025年02月10日 16時36分