【ワシントン時事】トランプ米大統領は10日、米国が輸入する鉄鋼とアルミニウムに25%の追加関税を課す大統領令に署名した。これまでに導入された関税免除などの例外措置をすべて廃止し、10%だったアルミへの税率は引き上げる。日本からの鉄鋼製品に適用されていた措置も廃止され、追加関税の対象となる。新たな例外措置は設けない方針。国内産業を保護し、生産拠点の米国回帰を促す狙いだ。
大統領令によると、3月12日に発効する。
トランプ氏は記者団に「すべての国に適用する。これは大きいディール(取引)だ。米国を再び豊かにする」と強調した。欧州連合(EU)やカナダからは反発の声が出ており、貿易摩擦に発展する恐れがある。
トランプ氏は第1次政権時の2018年、安全保障上の脅威を理由に、米通商拡大法232条に基づいて鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を課した。ただ、貿易協定を結んだカナダとメキシコのほか、オーストラリアも適用除外となった。
バイデン前政権下では見直し機運が高まり、日本やEUに対し、一定量までは追加関税を免除する「関税割当制度」を導入。日本には22年4月以降、年125万トンまでの鉄鋼輸入に追加関税を免除する措置が適用された。一部の鉄鋼製品を適用除外とする措置もあり、「虫食い状態」(関係者)と指摘されていた。
大統領令は、中国による鉄鋼の過剰生産能力が拡大する中、こうした例外措置により、鉄鋼やアルミの輸入が増加したと説明。「安全保障を損なう恐れがある」として、例外措置の廃止やアルミの税率引き上げが必要だと強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕10日、ワシントンで、大統領令に署名するトランプ米大統領(EPA時事)
2025年02月11日 18時01分