「実質株主」把握へ新制度議論=会社側に情報請求権―法制審



鈴木馨祐法相が10日、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した会社法の改正では、株主名簿に名前は出ないが議決権を行使し影響力を及ぼす「実質株主」を、上場企業などの株式会社側が把握できるようにする制度の創設も検討事項となった。名簿上の株主に、実質株主の情報を請求できる権利を導入する方向で議論が進む見通しだ。

国内外の「物言う株主」が幅を利かせ、上場企業へ与える影響力が増す中、企業と株主との間での対話を促進することが狙いだ。

実質株主とは、企業が作成する株主名簿には登場しないが、信託銀行などを通じて実質的に株式を保有し議決権を行使できる株主を指す。名簿上は株を預かっている信託銀行などの名義が記載されるので、企業側は本当の株主を把握することができない。

上場企業の株式の5%を超えて保有した場合、大量保有報告書の提出が義務付けられている。しかし、5%までは、上場企業側が把握することは難しく、知らぬ間に株を買い進められてしまうリスクがある。

実質株主を把握できるよう、金融庁も検討を進めている。機関投資家向け行動指針を改定し、実質株主に対し企業の求めに応じて説明を行わせる方向。しかし、法的に義務付けるのではないため、どこまで実効性があるか不透明との指摘がある。

法制審での議論では、会社側が名簿上株主となっている信託銀行などに対し、実質株主の情報を請求できるようにする方向で議論される見込みだ。開示に応じなかった場合、過料を科したり、議決権に制限を設けたりすることで、実効性を確保する案も浮上している。

大和総研の池田専務理事は「実質株主の把握は、法的な義務付けがないとうまく働かない。これを機に、企業が実質的に議決権を行使する株主に説明を行えるようになるなど、対話が進むことが期待される」と指摘する。

【時事通信社】

2025年02月11日 08時24分

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