米、為替で強硬論封印=合意再確認、目標要求せず―財務相会談



【ワシントン時事】米ワシントンで24日開かれた日米財務相会談では、米国の関税政策を巡る交渉に関連し、「為替相場は市場で決定される」との合意を再確認した。米側は円安批判を控え、為替目標の設定や為替管理の枠組みなどの強硬な要求を封印。加藤勝信財務相は会見で「生産的な議論をした」と胸をなで下ろした。

市場の不安定な動きが続く中、日本が警戒していた為替政策への要請を見合わせ、早期に成果を得たいとの米側の思惑も透ける。

「日本は常に円安のために戦ってきた」。会談前日の23日、トランプ米大統領は改めて円安への不満を表明し、日本側をけん制した。

米国では、労働組合や産業界を中心に輸出に不利なドル高への不満が大きく、巨額の貿易赤字には「通貨(の問題)が確かに関わっている」(グリア通商代表部=USTR=代表)との考えが根強い。トランプ氏は第1次政権で、カナダ・メキシコとの貿易協定に通貨安誘導を禁じる「為替条項」を規定。日本との貿易交渉でも、たびたびちらつかせ、日本側をいら立たせた。

今回の関税交渉でも、為替介入が困難になり、金融政策にも影響を与えかねない厳しい要求や、積極的な円安・ドル高の是正を突き付けてくるとの懸念が強まっていた。

ただ、財務相会談では、先進7カ国(G7)合意の確認にとどまり、「現在の為替水準や(為替を巡る)協定などに関する議論はなかった」(財務相同行筋)。2017年5月のG7合意は、輸出競争力強化のために為替を利用しないことや、通貨の切り下げ競争を避けることなどを明記している。

米政権が全世界を対象にした相互関税を発表して以降、市場ではインフレや景気悪化への懸念が拡大。90日間の一部停止後も米国の株式や債券、ドルが売られ、不安定な値動きが続いている。穏健派とされるベセント財務長官は、各国・地域との交渉で成果を出し、市場を覆う不確実性を払拭したい考えとみられる。

一方で、トランプ氏の円安に対する不満は収まっていない。再び批判を強める可能性もあり、日米関税交渉は予断を許さない状況が続きそうだ。

【時事通信社】 〔写真説明〕1ドル=139円台を付けた円相場を示すモニター=22日、東京都中央区

2025年04月25日 20時31分


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