【上海時事】中国・上海で23日開幕した上海モーターショーでは、日米欧や地元の主要メーカーがこぞってブースを構えた。トランプ米政権の高関税政策で自動車を巡る先行き不透明感が強まる中、世界最大の市場で販売攻勢をかけたい考えだ。
「知能化と電動化をリードする中国で消費者から信頼を得られれば、世界でも受け入れられる」。トヨタ自動車の現地法人幹部は発表会でこう強調した。今回、電気自動車(EV)の新モデル「bZ7」などを初公開。同社は上海で高級車レクサスの工場整備を進めており、販売強化に向け、研究開発の現地化も加速する。
日産自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)のピックアップトラック「フロンティアプロ」を公表。2027年までにPHVやEVなどを10車種に増やすと明らかにした。ホンダはスポーツカータイプのEV「ホンダGT」を展示した。
ただ、外資各社は苦戦を強いられそうだ。競争力を高めた地場メーカーが販売を伸ばしており、今年1~3月の乗用車販売に占める地場の割合は7割近くまで上がった。トランプ関税に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱も経営の足かせとして浮上。発表会で関税に言及する企業はほぼなかったものの、発表会後に「米中の本格的なデカップリング(分断)を見据えて事業を進めざるを得ない」(欧州大手)といった声も漏れた。
中国EV最大手の比亜迪(BYD)は今回、高級ブランドの「騰勢」などで新モデルを公表。各ブランドの発表会はブースに人が入り切らないほどの盛況だった。中国メディアの記者は「注目は国内企業だ」と断言。対米貿易摩擦が激化する中、地場メーカーの発表会では、愛国心を刺激するためか「国産」をアピールする姿勢が目立った。
一方、米メーカーでは、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが強みとする大型車などを展示。米大手関係者は「中国市場は巨大だ。今は(米中貿易戦争という)嵐が過ぎ去るのを待っている」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕上海モーターショーで開催された中国電気自動車(EV)最大手・比亜迪(BYD)の新車発表会=23日
〔写真説明〕中国の上海モーターショーで公開されたトヨタ自動車の電気自動車(EV)新モデル「bZ7」=23日
2025年04月24日 16時03分