通常国会で与野党の論点となった企業・団体献金の見直しが、今秋に見込まれる臨時国会以降に先送りされる公算が大きくなってきた。「全面禁止」と「規制強化」を巡って野党の足並みがそろわず、存続を求める自民党は今国会での結論に難色を示しているためだ。コメ価格の高騰や年金改革などに関心の比重が移り、政治献金の在り方に関する議論が停滞している面も否めない。
「選挙を意識せず、参院選が終わってからやるのも手かなと考え始めた」。自民の渡海紀三朗政治改革本部長は22日、党本部で記者団にこう述べ、企業・団体献金見直し論議を持ち越すべきだとの考えを明らかにした。
今国会で自民は企業・団体献金存続を前提とした「公開強化」法案を提出。一方、立憲民主党や日本維新の会など4党1会派は「原則禁止」法案を共同で出した。
その後、3月末に公明、国民民主両党と自民は企業・団体名の公開基準引き下げなど「規制強化」策で合意。ただ、3党の法案化作業は進んでおらず、全体として足踏みしている。
立民や維新などは自民と公・国に規制強化策の法案化を要求。これに対し、渡海氏は22日、3党で共同提案する可能性について「ないと言って構わない」と明言。国民民主の古川元久代表代行も同日、公・国での提出の可能性を問われ「与野党が一緒に考え、まとめていくものだ」と否定的な考えを改めて示した。
立民は会期中の法案採決を自公国に呼び掛けている。大串博志代表代行は同日、自民派閥の裏金事件に端を発した問題だと指摘し、「誰がどのような考えを持っていたか採決で示さずに終わっていいのか」と主張。自民に対しては「公開強化」案の修正案提出も検討するよう求めた。
自民はこれについても後ろ向き。渡海氏は「追い詰められ、とにかく何か決めればいいのか」と語った。
自民政治改革本部の事務局長を務めてきた小泉進次郎氏が農林水産相に就任し、与野党協議の主要メンバーが代わることも、停滞要因に加わりそうだ。いずれの法案も採決で過半数を得る見通しが立たない状況は、当面変わらないとみられる。
【時事通信社】
〔写真説明〕衆院政治改革特別委員会の理事会に臨む与野党の理事。中央奥は渡辺周委員長=3月31日、国会内
2025年05月23日 07時08分