自民総裁選前倒し、不透明感強まる=内閣支持上昇、議員動向焦点



石破茂首相への事実上の退陣勧告を意味する自民党総裁選前倒しの是非を巡り、同党内の議論の行方に不透明感が強まってきた。前倒しを求める声が地方組織幹部に広がる一方、報道各社の世論調査で首相続投論が勢いを増しつつあるためだ。あくまで退陣を迫るかどうか、党所属国会議員は難しい判断を迫られそうだ。

党則6条4項は党所属国会議員と47都道府県連代表の過半数から要求があった場合、臨時総裁選を行うと定める。党所属議員は現在295人。172人の要求で総裁選は前倒しされることになる。

時事通信が47都道府県連幹部にアンケート調査を行ったところ、21道府県連が「臨時総裁選を実施すべきだ」と回答。2県連は「実施すべきではない」と答えた。過半数に届かなかったものの、首相続投への厳しい声が浮き彫りになった形だ。

党所属議員には波紋が広がる。前倒し推進派の一人は「前倒しを望む県連は実際にはもっと多いはずだ」と分析。別の一人は「都道府県連の過半数まであと少し。上積みに動く」と息巻く。これに対し、態度を決めかねる議員は「過半数に届かないのは重い結果だ」と受け止める。

世論の動向も党所属議員を揺さぶる。新聞各社が25日付朝刊で報じた世論調査では内閣支持率が軒並み上昇し、読売新聞の調査では7月の緊急調査から17ポイント増の39%に達した。いずれの調査でも首相続投論が辞任論を上回った。

前倒し派の若手は「究極の民意は選挙結果だ」と強気の姿勢を崩さない。しかし、党内からは「石破降ろしに動けば、世論の反発を招きかねない」「これで臨時総裁選は難しくなった」との声も上がる。総裁選挙管理委員会が前倒し要求を記名方式で確認する方向で検討していることもこうした声を増幅させる。

もっとも、党所属議員らへの意思確認は9月初旬に想定される参院選総括の後になる見通し。このため、総括後の引責を示唆する複数の党幹部が実際に辞任すれば、首相は意思確認を待たずに困難に直面するとの見方も出ている。首相周辺は「執行部総崩れになれば政権は続かない」と語った。

【時事通信社】 〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相=25日午前、東京・永田町 〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相(中央)=25日午前、東京・永田町 〔写真説明〕会合であいさつする石破茂首相=25日午前、東京都港区

2025年08月26日 07時03分


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