
政府は30日に日本成長戦略会議(議長・高市早苗首相)を開き、7月の閣議決定を目指す「日本成長戦略」の原案を提示した。経済安全保障などリスクを最小化する「危機管理投資」と日本が優位性を有する先端技術を花開かせる「成長投資」を両輪に、政府主導で民間投資を引き出すのが狙いだ。成長の好循環を実現するための「羅針盤」との位置付けだが、2040年度までに累計370兆円超と想定する官民での大規模投資が効果を生まなければ、財政の一段の悪化を招く恐れがある。
原案は「日本経済を再び成長軌道に乗せる」と表明。長年続いてきた「過度な緊縮志向」や「未来への投資不足」から脱却するとした。首相は席上、「官民連携の下、新たな発想や視点に基づく真に効果のある政策を提案し、力強く実行に移していく」と強調した。
官民投資では人工知能(AI)・半導体や造船、防衛産業など戦略17分野を選定した。特に成長の「加速装置」と期待するのはAIだ。日本が強い製造業が集積したデータを活用し、AIでロボットや機械を動かす「フィジカルAI」の競争力を高め、人口減少下でも産業の高付加価値化を目指す。民間投資が大きく誘発されれば、40年度には名目GDP(国内総生産)は約1100兆円に拡大し、消費や企業収益が上がり、税収も増え、財政の健全化も進むとの姿を描く。
民間投資の呼び水となる政府支出は、「強く豊かな日本」投資枠を創設し、上限を設けず要求できる仕組みとする。大規模な予算措置のため、国債増発などで一時的に基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が悪化することも許容する方針だ。
ただ、政府が成長分野の「勝ち筋」を見極め、日本経済の潜在成長率を底上げできるかには不安が残る。過去には、国策による産業支援は、液晶パネルやメモリー半導体など失敗の歴史が繰り返されてきた。投資が成長につながらなければ、借金の山が残るだけになりかねない。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「政策効果を不断に検証・改善する仕組みを担保することが不可欠だ」と指摘する。
【時事通信社】
〔写真説明〕日本成長戦略会議で発言する高市早苗首相(右から2人目)=30日午後、首相官邸
2026年07月01日 08時16分