
トランプ米大統領が表明したカナダ製自動車・部品に対する50%関税は、日系自動車メーカーにも打撃となる。大手各社は米国、カナダ、メキシコの3カ国にまたがるサプライチェーン(供給網)を築き、米国向けに自動車を生産している。その前提となる3カ国間の貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は見直し作業が長期化しており、米国とカナダの関係悪化が重なったことで、難しい対応を強いられそうだ。
USMCAは、一定の条件を満たせば関税が免除される貿易協定で、トランプ第1次政権時に締結された。米系も含む自動車各社は協定を踏まえ、米国だけでなく、カナダやメキシコにも生産拠点を構え、米国向けに自動車を供給している。トランプ氏が表明した50%関税は、USMCAの条件を満たしていても対象になるとみられている。
トヨタ自動車は、カナダの工場で米国向けに高級車ブランド「レクサス」の一部車種や、スポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」などを生産。デンソーやアイシンなどトヨタ系部品メーカーも、空調関連部品やドアフレームなどの製品をカナダから輸出している。ホンダは人気の「シビック」などを米国に輸出しており、現地法人によると輸出台数は年30万台規模に上る。
米政権はカナダからの自動車に対し、既に25%の追加関税を発動しており、日系自動車メーカーは「収益が厳しい状況」(幹部)。自動車業界では、さらに税率が引き上げられれば、「カナダに拠点を構える日系企業は事業が成り立たなくなる」(同幹部)と悲鳴が上がっている。
自動車各社は米高関税を「一時的なものではない」とみて、現地生産を強化する構えだ。米国とカナダの関係悪化は、現在進められているUSMCA見直しにも悪影響を及ぼす可能性が高く、ある自動車大手幹部は「供給網の見直しが必要なのは間違いないが、前提となる条件が整わず、身動きが取りにくい」と苦慮している。
【時事通信社】
〔写真説明〕米デトロイトに輸送されたトヨタ自動車の自動車=2025年2月、米デトロイト(AFP時事)
〔写真説明〕米国向けの生産を手掛けるホンダのカナダ工場内に並ぶ自動車=8月19日、カナダ・オンタリオ州アリストン(AFP時事)
2026年08月26日 07時09分