
激しい旅客獲得競争を長年繰り広げてきた全日本空輸と日本航空が初めて、ダイヤ調整に踏み切る。10月下旬から羽田空港と岡山空港を結ぶ路線で両社の運航便が同じ時間帯に重複しないように調整する。利用者の利便性を高め、搭乗率アップにつなげる。
苦境にある国内線の収益改善に向けた取り組みの一環だ。重要な交通インフラである地方路線を維持するため、ライバル2社の協業が今後、さらに広がりそうだ。
航空各社は、独自の判断で運航時間を決めておりダイヤが重なる路線が多い。羽田―岡山線では羽田発の始発便は2025年冬期ダイヤでは、全日空は午前7時45分、日航は8時5分発だったが、ダイヤ調整後は全日空が7時25分発、日航が8時20分発にずらす。利用者の選択肢を広げ、競合する東海道・山陽新幹線からの旅客流入を期待する。
国内線は、オンライン会議の普及に伴う高単価のビジネス客の減少に加え、燃料費などコスト上昇で収益悪化が進む。観光庁によると、国内線の日本人日帰り旅行者のうち、出張・業務利用は19年が約317万人だったのに対し、24年は約103万人と7割近く減少。国内主要6社の国内線は24年度に、航空機燃料税の軽減など公的支援を除くと営業赤字に陥った。
国内線の維持策を検討してきた国土交通省の有識者会議は5月、ダイヤ調整について、減便しないなど一定の条件を満たせば、独占禁止法に抵触しないとする報告書を公表。ダイヤ調整は今後、羽田―小松線など他の新幹線競合路線にも広がる可能性がある。有識者会議は、維持の難しい赤字路線では、便数調整や大手同士によるコードシェア(共同運航)も認められるとの見解も示した。
両社はすでに、地方空港で貨物の積み下ろしなど離着陸支援「グランドハンドリング」業務の協業を進めている。10空港で航空機の誘導などに必要な資格を実質的に共通化。けん引車や給水車などの車両も共用し、効率化を急ぐ。岡山空港では、係員による案内業務などの一体運用にも乗り出した。
国内線の維持について、ANAホールディングスの中堀公博副社長は、競争原理を維持しつつも「協調のプラットフォーム構築に向けて、社会的役割を果たしていきたい」と強調する。交通インフラの維持と利便性を両立させるため、国交省は「航空会社と地元、国が同じ方向を向いて取り組む必要がある」(担当者)としている。
【時事通信社】
〔写真説明〕駐機する全日本空輸(左・ANA)と日本航空(JAL)の垂直尾翼に描かれたロゴマーク=東京・羽田空港
2026年09月08日 07時22分