
米南部アッシュビルで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、国際的な経常収支の不均衡是正を巡り、議長国・米国が巨額の対外黒字を積み上げる中国を狙い撃ちにした。一方、日本は円安・債券安が止まらない中、高市政権が進める積極財政への理解を求めたが、向けられた視線は厳しくなっている。
「1.2兆ドル(約190兆円)もの貿易黒字を計上する中国を、世界は抱え切れない」。ベセント米財務長官は8月30日のロイター通信のインタビューで、巨額の補助金によって生産能力を拡大し、輸出攻勢をかける中国を非難した。
1日に公表した議長声明は「不均衡を悪化させる非市場的政策」の撤廃を要求。中国は反発したが、ウクライナ侵攻を続けるロシアでさえも賛成に回り、ベセント氏は「(中国以外の)参加国の声はそろっている」と強調した。片山さつき財務相も安価な中国製品の大量流入で「他国の物価・雇用への悪影響を避けるべきだ」と同調した。
国際通貨基金(IMF)によると、各国の経常黒字と赤字を合計した経常収支の不均衡は2025年、世界全体の国内総生産(GDP)比で3.7%に上昇。5%超だった07~08年の金融危機時から一時は3%を下回ったが、再び拡大基調にある。IMFは「金融面での脆弱(ぜいじゃく)性を高め、無秩序な調整のリスクを招く」と警鐘を鳴らす。
ただ、最大の経常赤字国である米国は、トランプ政権が「友好国からも敵対国からも略奪されてきた」と訴え、世界各国に高関税措置を発動し、赤字解消を目指してきた。ロイターによると、ドイツのクリングバイル副首相兼財務相は米カナダの貿易摩擦の激化を念頭に「米国が推し進める関税を巡る対立は信頼を破壊する」と懸念を表明した。
世界的に長期金利が急騰する中で開催した今回のG20財務相会議では、円安・債券安という「日本売り」が国際金融市場の波乱要因として警戒が広がった。会議では片山氏は「債務残高対GDP比を引き下げ、成長戦略と両立させる」と政権の財政運営方針を説明した。ただ、ベセント氏は閉幕後の記者会見で「日本は一歩引くことができる」と述べ、暗に政策転換を促した。
ベセント氏は、近年のG20が気候変動対策から経済格差是正までテーマが拡散してきたとして、「力強い経済成長の促進」という「基本」に立ち返ると宣言した。しかし、南アフリカとは白人が迫害されていると対立し、同国を招かなかった一方、ウクライナ侵攻後初めて、ロシアの財務相が対面で出席し、欧州は反発した。中国との対立も埋められず、G20の形骸化が一段と進んだ格好だ。
【時事通信社】
〔写真説明〕20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見するベセント米財務長官=1日、米ノースカロライナ州アッシュビル
2026年09月03日 07時46分