
高市政権が、積極的な金融緩和と財政出動で緩やかな物価上昇を生み出す「リフレ派政権」のイメージ払拭に躍起になっている。9月22日の日米首脳会談後、経済閣僚からは政権が掲げる「責任ある積極財政」はリフレ政策とは異なるとの発言が相次ぐ。円安や日本の金利上昇の米金利への波及に警戒を強めるトランプ米政権からの圧力をかわす狙いがあるとみられる。
片山さつき財務相は、9月25日のベセント米財務長官との電話会談で、高市早苗首相はリフレ論者ではないと説明。城内実経済財政担当相も記者会見で、高市政権の経済政策は「(リフレ政策を推し進めた)アベノミクスの継承ではない」などと繰り返している。
11月の米中間選挙が迫る中、米政権は国民に不人気な住宅ローン上昇などの原因となる米金利上昇の芽を摘もうと、日本の財政・金融政策への介入姿勢を強めている。ベセント氏は9月1日の記者会見で「(日本は)リフレ政策をやめるべきだ」と警告。日米首脳会談では、トランプ大統領から「円安によって米国の貿易が厳しいという話があった」(高市氏)という。
アベノミクスの下での異次元金融緩和は、日本の輸出企業に打撃を与えた円高の動きを円安へと転換した。ただ、足元では積極財政を掲げ、利上げにも消極的とされる高市政権下で、歴史的な円安と長期金利の上昇が続く。過度な円安は輸入物価の上昇を通じて日本経済に悪影響となるが、政府・日銀がドルを売って円を買う為替介入に動けば、原資確保のため大量の米国債を売却する可能性がある。
日本の金利上昇も、投資家が米国債に投じた資金を日本に戻すことで米金利の上昇につながる可能性がある。
政府は夏以降、積極財政=リフレ政策のイメージを拭おうと市場関係者との意見交換も活発化している。ただ、巨額の官民投資や消費税減税など「リフレ派的発想で政策が実施されていることは明らか。行動を伴わなければ米側からの圧力は強まる」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員)との指摘が出る。
【時事通信社】
〔写真説明〕9月26日、トランプ米大統領との電話会談を終え、首相官邸で取材に応じる高市早苗首相
2026年10月03日 07時32分